しゅふクリ・ママクリ

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喜びも苦しみも、今しかないことだらけ vol.2

前回に引き続き、ライトパブリシティ国井美果さんのインタビューを紹介します。前回は、保育園に入れる難しさについて、母親の心境を語っていただきました。今回は子育てについて、社会全体で考えたいこと、また、国井さん独自の理想に迫ります。働きながら育児をするのは、どうやら当事者だけの問題ではなさそうです。

 

>>前回「国井美果さん 「結婚したい」と考える余裕もなかった入社時代から結婚まで」はこちら

 

 

子育ては三者三様

 

一方、会社での環境はいかがですか。

 会社からはよくサポートしてもらっています。例外も多々ありますが、夕方以降の打ち合わせは難しい、という姿勢を会社が理解してくれています。夕方から22時くらいは、いちばん慌ただしい、戦のような時間帯で「フロだー、めしだー」とやっているので電話もあまり出られない、そういうことも理解してくれていて助かります。

 それでも必要な遠方出張や、夜遅くまでの打ち合わせ、明け方まで及ぶ撮影となるのであれば、母やシッターさんを手配するとか、パパに連係プレーをお願いするなどの準備をして臨んでいます。

 仕事の仕方については、育児中でもバンバン海外出張に行っているお母さんもいますので、育児環境によって様々です。同じ子育てなんて、この世にひとつもないと思います。理想をいえばですが、「社員に統一のルール」ではなく、それぞれの業務内容や育児環境によってそれぞれの仕事の仕方がチューニングできると素晴らしいと思いますね。

 営業、カメラマン、コピーライター、アートディレクターでは、最適な仕事のやり方も当然違いますし。「子育てしやすい制度を整えてください」と会社に投げても、自分にとってのベストはなかなか出てきづらいと思います。「うちは親に手伝ってもらえない」、「旦那さんも本当に忙しくて育児参加が難しい」、「朝は早く来られるけど夕方早く帰らなきゃいけない、自宅作業したい」など、事情はみんな違うので。管理や評価の面では難しいのかもしれませんが……。

 また、産休に入っている間に、その人の業務の穴をサポートした人に対する評価も大事で、育休からの復帰を支援すると同時に支えた人達もちゃんと称える。それも育児支援の一環なのではと思います。いま後輩が育児休暇を取っていますが、彼女は私の時に全力でサポートをしてくれたので、私もいま出来る限りサポートしています。パパを応援するしくみやムードも高まってはいますが、まだまだだと思いますね。こういう現実は、私自身も目の当たりにするまで全然分かりませんでした。

 

似顔絵お子さん(長女)が描いた国井さんはまさに働く母の迫力!

 

 働きながら育児をすることは、当事者だけの問題ではなく、その人の周りの会社組織だったりとか、社会だったりとか、すべてを巻き込んでみんなが考えられるようになるといいなと思います。ただ、それぞれにとって利益がないと、みんなが自分ごととして捉えられなくて結局うまくいかないのではないかとも思いますね。みんなが関わり、それによって社会が良くなる、という気持ちになれるといいのですが。

  
 

「わがまま言ってごめん」

 

子育てについて悩まれたことはありますか。


 夜はいつも子どもに本を読み聞かせてから寝るんですけど、1年ほど前、いつもどおり消灯したら長女が「ママ、もうちょっと一緒にいたいよ」って泣いているんですよ。その時期は深夜帰りが長いこと続いていたんです。「ずっと一緒に帰ってないし、一緒にいたいな」って。「わがまま言ってゴメン」って謝られちゃって。「これはいかんな」と思いました。だからといって仕事は辞めないのですが、気遣いが足りなかったな、やり方を考えなきゃな、と痛切に思いましたね。

 

絵遅く帰ったとき、テーブルに置いてあった長女からのメッセージ

 

 

どうバランスを取って仕事を続けられているんでしょうか。


 仕事と家庭の完全な両立は無理だけど、その時々でいちばん大切に思うことを、どこまで大切にできるか、そのバランスを取りつづけるしかないなと思います。

 子どもが幼い時期というのは限られていて、きっとあっという間に私を必要としなくなります。必要とされているから頑張れるというのは家庭も仕事も同じです。家庭も、仕事も、いま自分を必要としてくれることのために、がんばるしかないと思います。どんなにヘナチョコで危なっかしくても、がむしゃらに。出来れば楽しんで。

 

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>>次回9月29日公開 「Club_A 舟越響子さんインタビュー」

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[PROFILE]国井美果

 東京都生まれ。立教大学卒業後、ライトパブリシティにコピーライターとして入社。現在はコピーライター、クリエイティブディレクターとして働く傍ら、9歳の女の子と3歳の男の子、2児の母(2015年7月現在)。主な仕事に、資生堂「一瞬も一生も美しく」、資生堂マキアージュ「レディにしあがれ」伊藤忠商事「ひとりの商人、無数の使命」など。ADC制作者賞、TCC賞、日経広告賞大賞など受賞。

国井美果

スケジュール

略歴

1971年
出生
1994年
ライトパブリシティ入社
2006 年 6月
第一子の出産、
育児休業
2012 年 7月
第二子の出産、
育児休業

主なお仕事

  • ・資生堂c.i.「一瞬も一生も美しく」、同社企業広告シリーズ
  • ・資生堂 マキアージュ「レディにしあがれ」
  • ・伊藤忠商事C.I.「ひとりの商人、無数の使命」、同社企業広告シリーズ
  • ・ベネッセ一社提供番組「しまじろうのわお!」企画参加
  • ・経産省クールジャパンプロジェクト「365日 Charming everyday things」など多数。
  • ・著書に『ミッフィーとフェルメールさん』(美術出版社)など。
  • ・TCC賞、ADC制作者賞、日経広告賞 大賞、など受賞。