しゅふクリ・ママクリ

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子どもがいるということも数多くの多様性の一つ vol.2

博報堂のストラテジックプラナー、矢野真理子さんへのインタビュー後編。入社後4年目に妊娠・出産を経験した後のエピソードをお聞きしました。保育園の激戦区での保育園の選びや、仕事と子育ての狭間で感じる葛藤の中、逆転の発想でポジティブなエネルギーを生み出していく姿勢が印象的でした。

>>前回 矢野真理子さん「演劇のち、宇宙のち、地球のち、コミュニケーション」はこちら

 

 

あえて認可保育園を選ばなかった

 


保育園は認証保育園ということですが、入るのに苦労しましたか。また、そこを選んだ理由は何でしょうか。

 

 保育園は妊娠中に探す方も多いのですが、私はのんびりしていて、生んだ後に参加した体操教室で話している周りの人の話を聞き、焦って探し始めました。(笑)今、住んでいる練馬区は世田谷区に次いで待機児童が多く、年度の途中から認可保育園に入るのは難しい。そのため、とりあえずは認証保育園に入り、1歳になった新年度に認可に入る方が良いだろうということで、ひとまず認証保育園を探すことにしました。たまたま、高校時代の友人に良いところがあると教えてもらい、そこへ見学に行きました。

 当初、認証保育園は、園庭が必ずある認可とは異なり、マンションの一室で運営されている、少し格下の保育園というイメージがありましたが、今の認証に出会ってイメージががらりと変わりました。実際、今の認証保育園も園庭はなく、マンションの一階全体を園にしていますが、部屋の中で過ごす時間が長くなるからこそ、その時間をどう過ごすか、ということをすごく考えてカリキュラムを組んでいて、美術の時間やリトミック、英語、料理など、むしろ認可よりもやってもらえることが充実していて驚きました。

 ゼロ歳や1歳、2歳くらいまでは、室内で過ごす時間のほうが長いので、それなら室内で何に触れて、どんな体験をするのかということがすごく大事だと思い、その認証保育園に決めました。最初は認可に移るつもりで入ったのですが、結局3歳になった今も通っていて、このまま卒園させてあげようと思っています。今は、一番上のクラスなので、園のお局みたいになっていて、新しい子が入ってきたら頭をなでてあげたり、泣いていたら「どうしたの、悲しいの? 」って聞いてあげているみたいです。(笑)

 園の先生たちも信頼できますし、安心して預けられるのはもちろん、娘も先生を信頼しているのがすごくわかります。はじめは保育園に預けるということ自体に抵抗があったのですが、今では親以外に信頼できる大人がいるということはすごく大事だと思うようになりました。3歳でさまざまな大人と関わりを持たせることができて良かったと思います。

 

育休ではなく、「育児出向」と考える

 

育休からの復帰以降は、ずっとフルタイムで働いているのですか。

 1歳まではきちんと育児もしなければと思いつつ、一方であまりブランクが空く前に仕事に復帰したいという気持ちもあり、娘が10カ月のときに仕事復帰しました。最初は不安も多かったので、ひとまず時短勤務で復帰したのですが、半年くらい経った時に、面白い経歴の人が上司になりまして。その人は、海外で能力や条件がバラバラな多様性のある人たちをマネージメントしながら仕事をしていた人で、私に対しても多様性のある社員の1人として接してくれたんです。

 「今、どのような時間の使い方ができるのか」、「どういうキャリアや経験を積んでいきたいのか」、ということを丁寧に引き出し、今の私の働き方を提案してくださり、その上司のおかげでフルタイムに戻る決心がつきました。

 その上司が、妊娠していたり、子どもがいるということも数多くの多様性の一つとして捉えてくれたことが本当に大きいと思います。

 働き方というのは人それぞれで、事情に合わせて「この人は時間的な余裕がないから、そういう負担がないところに配置しよう」というよりは、「この人は子育てを経験したから、その視点が生かせる仕事をしてもらおう」といったように、それぞれの事情のプラスの要素をうまく拾って、適材適所でやっていくような発想が増えると、多くの人が生き生きと働けるのではないかと思います。

 

仕事に復帰して1年目の日の夜に旦那さんから
プレゼントされたケーキの写真をシェアしてもらいました。

一周年記念ケーキ.jpg
「さすがにこれをサプライズされたときは泣きました。(笑)
家族の理解や協力があって、本当に仕事ができていると思います。」  

 

子育てについて、今の悩みは何ですか。

 「こういう風に働きたい」という気持ちと「良き母親でありたい」という気持ちの矛盾みたいなものを感じることですね。仕事をしていることで娘に何を与えることができるのか、逆に、子育てをして得られることをどう仕事に反映させられるのか、ということに葛藤はあります。

 ただ、最近は育児というのは「出向」のようなものなのでは、と思うようになりました。妊娠・出産・子育ても、キャリアの幅を広げる要素の一つでしかない。私自身の半生を振り返っても、演劇が宇宙を、宇宙が国立科学博物館を、科学館がコミュニケーションを知るきっかけになり、夢中になったものから次の世界へつながっていきました。そうして経験してきたことの積み重ねが私のパーソナリティや幅になっていて、その幅が広がれば広がるほど、出てくるアイデアも変わり、いろいろな人の視点で物を考えられるということを、この数年の勤務でも実感しています。

 育休を取ると、「同期と差がついてしまう」と感じることもありますが、そうではなくて、「育児出向」して同期と違うことを経験していると考えると、前向きな時間にできます。私も実際、育休をしている間に、それまで出会うことがなかった専業主婦の人と話をしたりすることで、働いている時には気づかなかった、データでしか見ていなかったことをリアルに体感することができました。

 母として夜、2〜3時間おきに子どもに起こされたりするような経験も、すべてが新しい視座を得ることにつながっている。広告の仕事というのはそういう人生の体験すべてを生かすことができることが大きな魅力の一つであると感じているので、今では早く子どもを生んで良かったなと思っています。

 

>前回のインタビュー 「子どもがいるということも数多くの多様性の一つ vol.1 」 はこちら
>ほかの SPECIAL INTERVIEW -インタビュー- はこちら
>しゅふクリ・ママクリとは?

 

 

 

[PROFILE]矢野真理子

 1984年生まれ。入社より、主に自動車、食品、精密機器、化粧品などのブランディング、広告戦略策定、新商品開発業務を担当。プライベートでは生活者に学生時代に足を踏み入れたサイエンスコミュニケーションの世界で、科学技術をテーマにした生活者と専門家の相互理解を促進する活動に従事。                                                                                                                                                                                                                                                  

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略歴

1984年
生まれ
2007年
国立科学博物館
サイエンスコミュニケーター
養成講座2期生
2009年 
博報堂入社
マーケティングセンター配属
ストラテジックプラニング職
2012年
出産後育児休業
2013年
第1プラニング局(旧マーケティングセンター)に復帰
2014年
異動により第3プラニング局と
株式会社VoiceVision兼務
 
 

最近のお仕事

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