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◆社長訪問◆評価されるのは、時間ではなく質

今回は、マッキャン・ワールドグループの一員で、医療用医薬品のコミュニケーションを専門に扱うエムディエス・シーエムジー株式会社を訪問。同社社長で、2児の母でもある大根田和子社長に、お話を伺いました。

メディカルコミュニケーションとの出会い


はじめに、大根田さんのご経歴を教えてください。

私は、薬学部を卒業後、内資系製薬会社の研究所に就職しました。その後、外資系製薬会社に転職し、医薬品の販売戦略を担うマーケティング担当者であるプロダクトマネージャー(プロマネ)も経験しました。担当製品の上市と同時期に初めての子どもも生まれ、周囲の助けもあって仕事を続けていました。ただ、仕事柄、海外出張の機会も多く、今から思えば大きなチャンスだったのでしょうが、当時はロールモデルもなかったので、続けられる自信がなく、転職することにしました。その後、バイオベンチャーを経て、医療系広告会社でメディカルライターになりました。プロマネ時代からコミュニケーションツールの企画作成に興味があり、たまたま2人目を妊娠中に、メディカルライターを募集する新聞広告が目に留まり、「プロマネ経験者優遇」という言葉を見つけて、応募することにしたのです。まさに私を求めていると思いました。


大根田さん



天職を見つけて、会社をつくられたのですね。

その会社で信頼できる仲間と出会い、一緒に納得できる仕事をしていきたいと思ったことが会社を立ち上げたきっかけです。会社を創設するのは大変ですが、幸いなことに私たちの主旨に賛同し、全面的にサポートしてくれる知人の助けで、現在の会社の前身(エムディエス株式会社)を作ることができました。今から20年ほど前のことです。

私たちの仕事は、医療に関わる方々のコミュニケーションを円滑にすることです。直接の顧客は主に製薬会社となりますが、医療には医師、患者、看護師や薬剤師、患者家族、そして製薬会社のマーケティング担当者、営業担当者(MR)など多くのステークホルダーが関わります。例えば、医師と患者、あるいは医師とMRには、当然のことながら医学知識の差がありますので、そのコミュニケーションギャップを埋めるのがメディカルコミュニケーションの役割と言うことになります。制作するものは製品パンフレットだけでなく、Webサイトや動画、時にはテレビなども用いたDTC(Direct To Consumerの略、医療用医薬品について患者などの一般消費者に直接伝える広告のこと)、MRの研修資材から説明に用いるパワーポイントまで多岐にわたります。

当社は設立以来、日本初の医薬品臨床開発支援(CRO)であるシミックホールディングスの一員として順調に業績を伸ばしてきましたが、急激な変貌を遂げるヘルスケア領域に対処すべく、2012年にマッキャン ヘルスの一員となり、社名をエムディエス・シーエムジー株式会社に変更して、現在に至ります。ここまで続けられたのは、本当にさまざまな人との出会いです。社員との出会いは言うまでもありませんが、多くのお客さまに助けていただきました。


母になっても、プロ意識を持ってほしい


御社は女性が多く働いていらっしゃるとお聞きしました。何か特別な制度はあるのでしょうか。

女性の比率は全体で6割くらいでしょうか。編集制作部門では、8割が女性です。マッキャングループ共通の制度を採用しているので、当社だけ特別な仕組みがあるわけではないのですが、グループ内で見ても、出産後も復帰して働いている社員は多いと思います。

ただ、忙しい業界ではあるので、すべてのママにとって働きやすい環境ではないかもしれません。経験が浅い人は、スケジュール管理ができず、仕事と子育ての両立に苦労している印象もあります。ただし、そこを乗り越えることができれば、メディカルの専門知識を持ったプロとして、業界で重宝される存在になることができます。とはいえ、一朝一夕でプロになれる訳ではないので、若いときからその道のプロフェッショナルを目指してほしいですね。クリエイティブ職は、専門家としての立場を確立しやすいので、子育てと両立しやすい職種なのではないでしょうか。


長く働く会社づくりをする際に、何か気をつけていることはありますか。

社員には、産休や育児時短制度を取ることは、多少なりとも周りに迷惑をかけているということを認識するようにと言っています。勿論、こうした制度を利用することは当然の権利ですが、そのために同僚や上司・部下がどのような影響を受けているのか、意識して欲しいのです。プロ意識を持って、自分の仕事に責任をとり、周囲の仲間への感謝の念を忘れないで欲しいと思います。子育て経験のある私だからこそ言えることですので、時には厳しく指導することもあります。社員には、「子どもがいなくても、これから親の介護や自分の病気などで周囲に助けられることもあるでしょうし、お互い様かもしれないのだからサポートしよう」と話すことがあります。みんなが気持ちよく長く働くためにも公平感が大切ですので、独身の人が不利益を受けないように心がけています。


大根田社長も、2人のお子さんがいらっしゃるということでしたが、仕事と子育てはどのように両立されていたのですか?

夫婦で助け合ってですね。私の場合は夫が研究職で、比較的、時間に自由がきいたので、恵まれていたと思います。周りの仲間には随分助けられ、子どもの急な病気の時などに随分カバーしてもらいました。あまり参考にはならないかもしれませんが、大学生の甥に週1回ベビーシッターをしてもらい、保育園のお迎えから夕食まで頼んでいました。その日は夜まで仕事を入れることができたので、とても助かりました。大変なのは長くて10年くらいです。子どもの成長を味わえるとても楽しい時期でもあります。その時期を工夫しながら乗り越えさえすれば、なんとかなるものです。今、子育て中の方にはエールを送りたいですね。過ぎてしまえばあっという間ですから。




社員も、企業も、時代も変化する


「女性活躍推進」について、どう思われますか?

企業側と働く女性側、両方の意識の変化が必要だと思います。女性はどうしても、結婚や子育てなどで働き方が変わってしまいますから、企業は女性を雇用する際にはそのような変化がありうるとことを想定しなければいけません。逆に雇われる側も、子どもを持ったときこそ、自分の進みたい道を見極めることも大切だと思います。仕事も家庭も完璧にというのは無理がありますので、仕事のプロとして「何をクリアすべきか」を考えると良いのではないでしょうか。

女性の働き方だけではなく、時代とともに環境は大きく変化しています。まだ当社にはいませんが、男性も育休をとる時代です。企業側もこの変化を敏感に捉え、多様な働き方が選択できる環境を、少しずつ整えていく必要があると思っています。まだ当社では仕組みづくりが始まったばかりですが、大切な仲間である戦力を失ってしまわないように、試行錯誤しながら努力しているところです。


「またこの人と働きたい」と思われることを目指して


最後に、子育てと仕事を両立させたい女性に、アドバイスをお願いします。

先ほども少しお話しましたが、クリエイティブ系の仕事は、スキルさえあれば、子育てと両立しやすいのではないでしょうか。そう簡単に代わりの人が見つかるわけでもありませんので、休みを取っても戻ってきやすい職場でしょう。一方、能力がそのまま評価されますので、シビアな世界であるとも言えます。長時間働いても仕事の質が悪ければ評価されません。逆を言えば、時間に関係なく良いものをつくれば評価されるわけです。プロとしての自覚を持って、限られた時間の中でも質の高い仕事ができれば、「またこの人と働きたい」と周りは思います。戻って来る場所はもちろん、活躍する場所もつくることができます。仕事を始めたときに「こういう仕事がやりたい!」という思いを持っていたかと思います。子育てで大変なときこそ、その頃の思いを忘れずに、プロ意識を持ってクリエイティブに関わってほしいと思います。


>前回のインタビューは 「◆社長訪問◆17時に退社しても、売上は伸びています」 はこちら
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[PROFILE]大根田 和子(おおねだ・かずこ)

国内および外資系製薬会社にて、研究職、学術スタッフを経て製品プロダクトマネージャーを経験。その後、医薬系出版社にてメディカルライターとなる。 1997年、エムディエス株式会社メディカルコミュニケーション部門立ち上げとともに入社、取締役就任。2002年より代表取締役社長。2012年エムディエス・シーエムジー株式会社代表取締役社長就任、マッキャンヘルスのライティング・エディトリアル部門の責任者を兼務。