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しっかりと体力を維持して、長く仕事を続けたい―白泉社 LaLa編集部主任 松本恵里佳さん(後編)【輝く!ママクリ】


仕事に、家事に、育児に…、忙しいけど面白い! 今、マーケティングやコミュニケーション、クリエイティブの世界で活躍しているワーキングマザーを取材します。第16回は、白泉社の編集者・松本さん。白泉社は、『花とゆめ』『LaLa』『MOE』などの雑誌をはじめ、コミックや絵本、電子書籍などを発行する出版社です。現在、少女向けの漫画雑誌『LaLa』の編集部で漫画編集者として働く松本さんに、仕事のやりがいや働き方の工夫、家庭での過ごし方について教えてもらいました。前編・後編でご紹介します。

白泉社 LaLa編集部主任 松本恵里佳さん

【この記事は前後編です:前編「夢を叶えて、本当に好きなことを仕事に」】

体調管理を徹底する

──漫画編集者の仕事や2人のお子さまの育児などで多忙な毎日だと思いますが、ご家庭での家事分担は、どのようにしていますか。

松本:家事は、夫と私のうち、その時にできる方がやるという感じで、具体的な分担はしていません。また、お互いのGoogleカレンダーを共有していて、空き時間には会食などの予定を入れてもよいというルールにしています。

普段、朝は私が子どもたちを保育園へ連れて行きます。夕方は夫が一度仕事を抜けてお迎えに。その後、帰宅した私が夫とバトンタッチをして、夫は会社へ戻る。そして夜、子どもたちを寝かしつけた後に、今度は私が仕事を再開します。時々お互いの繁忙期に合わせてどちらかが多く負担することもあります。ただ基本、私も夫も働き方は柔軟ですが多忙なため、大体の一日のスケジュールはこのようにでき上がっています。

──急な打ち合わせや用事が入った時は、どうしていますか。

松本:今は、急な場合も、ふたりでなんとか調整して対応しています。行政サービスをもう少し使いたいなとも思いますが、今はなかなか。例えばベビーシッター利用料金の補助を受けようと思っても、ベビーシッターさんの交通費が意外と高いんですよね。交通費は補助対象外なので、数千円の追加費用が自己負担になるかも…と思うと、踏み切れなくて。基本は夫婦でどうにかしようと努力しています。

──夫婦で乗り越えるために、気を付けていることはありますか。

松本:体調管理には気を遣っています。風邪を引かないために、子どもの食べ残しは食べないとか、毎朝自宅でYouTubeのワークアウト動画をやるなど心がけています。育児をするには、どうしても体力が要りますからね。雨の日には子ども2人を抱っこして保育園に行くとか。

──普段の生活の中で大切にしているのは、どんな点ですか。

松本:今は、土日は完全に子どもたちに捧げる時間にしようと思っています。平日は仕事をする分、あまり一緒に過ごせません。だから、土日はいろいろなところへ出かけたり、本を読んであげたりして、ずっと子どもたちと一緒にいます。

そうしようと考えたきっかけは、私が動かなければ、子どもたちの時間はずっと家の中で過ぎていってしまうんだと、ふと気づいたこと。なんとかこの子たちの土日を充実させないと…と思ったんです。

他にも、第一子は眼鏡をかけていることもあって、うちではテレビやタブレットを原則禁止にしています。こういったルールを決めて行動することが、私自身、好きなのかもしれません。

育児と同じように、長期的な視点で作家さんに寄り添う

──育児や家事の経験が仕事に活きたと思うことは、何かありますか。

松本:育児の経験は、仕事に活きていると思います。子育てを経験してから、作家さんと接する際に、より相手の立場に立てるようになったと感じます。

私は、親になる前はなかなか、自分以外の誰かの立場でものごとを想像することが難しかった気がします。でも、子どもは大人の理解や予測が追いつかない自由な要求や行動をするもの。広い心で子どもの気持ちを想像しないと、子育てはやっていけなくて。

また、相手にわかりやすい言葉で伝えようと、より心がけるようになりました。子どもは易しい言葉で伝えないと、理解してくれないことも多いので、仕事中でも自然とそれを意識するようになったと思います。

それから、目の前のことひとつ取っても、子どもには数年後を見据えた上で言葉をかけたり、今の段階で必要なことを考えたりします。作家さんへの対応もそれに近くて、今この場というよりも5年後にヒットするようにとか、今ヒットしている方であっても長く作家人生が続くように……といった形で、長期的な視点で考えられるようになったと思います。

私にとっては、子どもの自由な言動に向き合う経験が、仕事では良い方向に出ていると思います。

──仕事をする上で、意識していることはありますか。

松本:編集者の仕事は、事務的な業務もかなり多いのですが、そんななか、面白いネーム(漫画のコマ割りやコマごとの構図、セリフ、キャラクターの配置などを大まかに表した、ストーリーの下書き)が来ると、本当に楽しくて。

好きなドラマや映画を観るのと同じで、「めっちゃ面白い、この漫画……」って思う瞬間のために、他の業務はなるべく急いで終わらせます。そういうとき、やっぱりエンタメが好きだし、才能ある人に奉仕するのが、本当に好きだなと思います。

なので、ネームが届くと、どうしても飛びつくように「読みたい」と思ってしまうのですが、そうは言っても、時間的猶予のない業務もあり。今は時間の使い方に気を付けながら、自分をうまくコントロールしていけたら、と考えています。

──今後のキャリアについてのお考えを教えてください。

松本:今は、目の前のことで結構精いっぱいなところもあります。ただ10年間、編集職をさせていただいており、編集業務について言えば、作家さんへのフィードバックが早くできるとか、見るポイントがわかってきたなど、自分なりに上達していると思います。そのため、できるだけこの知見を活かして、会社に貢献したいですし、編集の仕事を長く続けたいなと思います。

──松本さんの発する言葉には、漫画編集への並々ならぬ情熱と、いろいろなことをしなやかに乗り越えてきたと思われる胆力を感じました。そのパワーの源にあるのは、やっぱり「好きだ」という純粋な気持ちなのかもしれません。毎日の体調管理も、本当に大切ですね。ありがとうございました。

【執筆者プロフィール】シキノハナ

編集者・ライター 兼 華道家。ビジネス雑誌の編集長を経て、複合サービス企業へ転職。約16年間にわたり、広報を軸とした企画業務に携わる。現在はシキノハナを主宰。仕事に、家事に、育児に…と、忙しい女性を心からリスペクトし応援する。
<ホームページ> https://shikinohana.com/

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