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納得すること。続けること。 vol.2

前回に引き続き、博報堂クリエイティブ・ヴォックスの太田麻衣子さんのエピソードです。仕事が忙しく、夜が遅くとも「朝食は一緒に摂る」という太田さん。今回は、忙しくても子どものために頑張れる理由や、マインドの持ち方について聞いてみました。

会えない時間が長いからこそ

朝に3食作るのをミッションとしていたそうですが、夜遅いのに早起きなのは大変だったのでは。

 大変でも、娘に会いたいんです、好きだから。一緒にいる時間が短くて、ずっとべったりしている訳ではないので、朝ご飯を一緒に食べて、その短い時間の中でする話、全てが新鮮で楽しいんです。

 私は夜いないですし、一緒にいる時間も少ないので、娘のことで私が迷惑をかけたり、忘れたりすることがないようにしなければ、といつも気をもんでいました。例えば学校への提出物や、何かの払い込みでも、全部クリアできないと大失敗だよ、と思っていて。娘の学生時代はすごく緊張感を持って、ミッションとしてタスクを自分に課していたところがあります。

 仕事でも、毎年カンヌ広告祭へ行っているのですが、その間、2週間くらい家を空けるんです。初めて行ったのは娘が小学生くらいの時。私もドキドキ、娘もドキドキして。だから、帰国して娘と久しぶりに会うと本当に嬉しい。遠距離恋愛みたいな感じです。会える時間が限られているから、その時間を大事にしたいと思えますし、会ったら可愛いしで、娘が大きくなってもずっと可愛いままですよ。

 今や、娘も21歳になり、手が離れてすることが無くなってしまったのですが、そうなると私の母性が余ってしまって。なので、今度はオカメインコを飼って子育てというか、鳥育てをしています。(笑)雄雌のつがいで飼っているのですが、最近、卵を産んで子育ての準備をしたりして、私はもうおばあちゃんみたいな気持ちになって成長を見守っています。

チャーリーとパリコ太田家の新しい家族 チャーリーとパリコ

振り返って

子育てで一番大変だったことは何ですか。

 ネガティブなことでも何でも、楽しくするように生きてきたので、子育てにおいてすごく大変だった、という記憶はないです。例えば、幼稚園に遅れそうで走る、ということも大変なことですが、それはプレゼンに遅れそうで走る、ということと変わらない大変さじゃないですか。子育ての大変さも仕事の大変さも、同じですよね。

 育休時代、娘が赤ちゃんで3時間おきに起きてくるような時期の方が正直辛かったです。「もう一生8時間とか、連続して寝られないのかな」と思って。(笑)

 朝3時に帰宅して、5時にはご飯を作らないといけないとしても、その時は眠いと思うのですが、きちんと起きて、ご飯を作って、一緒に食べて、娘を学校に送り出して…と、ミッションをコンプリートできたら「私今日、ここまでできた」ということが気持ちいい。

 自分に課したミッションをコンプリートすること。私のミッションとは、朝、娘とご飯を食べて、話をして、夜会えない分、娘と親密になること。それをしないとスッキリできません。「寝てスッキリ」ではなくて、夜会えなくても「その他の場面ではきちんとしている」という自己弁護もあったのかもしれないですけど、決めたことをしっかりやって、自分のスッキリ感を満たしていました。そういう姿を子どもも見ていて、良い子に育ってくれたのかなと思います、良い子が見守ってくれる楽しい家庭ができたと思っています。

 そしてその娘が昨年、私の50歳の誕生日にサプライズでアルバムをプレゼントしてくれました。私の両親や、友人、会社の同僚はもちろん、昔の上司などにも一人一人メッセージを書いてもらい、写真も貼ったアルバムで、これを作るためにいろんな人にお願いして、準備してくれたんだ、と思うと本当に嬉しかったです。

アルバム娘さんが太田さんにプレゼントしたアルバム

仕事も子育てもご自身で納得できることが重要だったんですね。

 納得できないことはやらないけど、やりたいことはしっかりやるということ。あとは、「続ける」ことですね。継続性があることの方が好きです。仕事でも一度だけ面白いことをして終わり、というよりも、連続して長く続いていくことをやっていきたい。広告業ですから、きちんと商品が売れたり、クライアントが望むことを広く伝わるようにして、その上で、いろいろな関係が続いていくようにしたいんです。人間関係でも、仲良くなって、一度喧嘩したからといって会わなくなるような関係はあまり好きじゃないですね。

 朝、出かけるときに「行ってらっしゃいは笑顔で」ということもずっと続けています。学校へ行くときも、小学校低学年の時はドキドキしながら見送ったものです。もしかしたらどちらかが途中で事故に会うかもしれない。そうなってしまったら、朝の玄関での「行ってらっしゃい」が最後の記憶になるということじゃないですか。ですから、とにかく「行ってらっしゃいは笑顔で」と、娘にも言い続けています。彼女も小さい時は「死ぬとか言わないで」と言っていましたが、今はもう「ハイハイ」って。喧嘩をしていてもこれだけはかかしません。

 子どもは「育てた」というよりも「育ってくれた」というのが私の実感です。博報堂クリエイティブ・ヴォックスは13人くらいの会社なのですが、育休中の人や、産休から復帰したばかりの人など、子どもを育てている社員が結構多いんです。私も先輩として「子育てはどうしてたんですか」と聞かれることもあるのですが、話をすると、「参考にならない、時代が違う」って切り捨てられてしまいますけどね。(笑)

[PROFILE]太田麻衣子

クリエイティブディレクター。博報堂クリエイティブ・ヴォックス代表取締役社長。コピーライター、CMプランナー、クリエイティブディレクターとして広告制作を本業としながら、 出版・TV企画制作の仕事にも携わる。 TBSのミニドラマ「階段のうた」の脚本を担当し、2012年度のギャラクシー賞を受賞。著書「きいてアロエリーナきいてマルゲリータ」(小学館)「8月のキリンノート」(小学館) 「Bath Views」(TOTO出版)など。

略歴

1964年
富山県出生
1987年
㈱博報堂入社
1999 年
㈱博報堂クリエイティブ・ヴォックス移籍
1994 年
長女を出産
2014年
同社代表取締役に就任

最近のお仕事

  • ・ポカリスエット
    「夏の親子」篇ほか
  • ・ルナルナ
    「ある日の女優」篇
  • ・8月のキリン