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獅母は我が夫を千尋の谷に落とす―電通パパラボ座談会vol2

電通には、母親視点から企業のマーケティング活動を支援するチーム「ママラボ」のほかに、父親視点から企業向けのソリューションを開発・提供するチーム「パパラボ」が存在します。パパラボでは、共働きパパなどの独自のインサイトを分析し、知見・ノウハウを蓄積しています。今回、しゅふクリ・ママクリでは、パパラボメンバーによる座談会を3回実施します。第2回は、「グータラパパをどう動かすか」について議論してもらいました。前回記事はこちら

電通パパラボには総勢13名いらっしゃるということで、今回は1回目の座談会とは別メンバーに参加いただきました。このため改めてお一人ずつ自己紹介をお願いします。

服部:前回の参加メンバーである柳田・小泉と同じマーケティングソリューション局に所属し、戦略プランナーをしています。クライアントの商品やブランドのコミュニケーション戦略の設計などが主な仕事です。家族は、妻と娘が2人。3歳と0歳です。妻は現在育休中です。

入澤:私は、MCプランニング局に在籍しています。メディア全般をニュートラルに提案し、クライアントの課題を解決する日々です。我が家は、服部くんのところと逆で男だらけで、4歳と1歳の息子2人です。妻も働いているのですが、いまは育休中です。下の子が次の4月に保育園に入るので、そのタイミングで復帰予定です。

尹:コンテンツビジネス・デザイン・センターというところで、大まかに言うとコンテンツに関わるさまざまな業務に携わっています。3歳の一人娘がいます。妻は復職していて、時短で働いています。

左から:尹さん、入澤さん、服部さん

皆さん、家事・育児の分担はどのような感じなのでしょう?

尹:私は、基本的に朝のご飯や身支度、保育園への送りを担当していて、夜は妻が、という感じですね。

入澤:僕も同じ感じですね。着替えさせて、送るみたいな。

服部:私は、1児目のときまでは「土日だけパパ」だったのですが、2児目の出産時に妻が入院~実家滞在と不在で、保育園に通う上の娘の面倒をひとりでみるワンオペ育児状態を3週間ぐらい経験しました。そのとき育児の大変さを改めて感じ、子ども2人になったらもっと大変だと痛感し、家事・育児に積極的になりました。いまは色々担当しています。平日も上の娘担当ということで、17時半に退勤し保育園のお迎えをして、お風呂・洗濯・寝かしつけなどをしています。

入澤:2児目のとき、たしか育休も取ってたよね?

服部:そうです。3週間ほど取りました。下の娘の出産時に仕事をしながら上の娘とのワンオペ育児を体感した3週間の厳しさと、私も妻も家にいられる育休期間3週間のありがたさ、両方ともかなりのインパクトでしたね。

前回の取材のときも感じたのですが、「パパラボ」と名乗るだけあって、皆さん家事・育児に積極的ですよね。けれど世の中一般では、そこまで関与するパパも少ないと思うのですがいかがでしょうか?

服部:パパラボでおこなった調査によると、働くパパは6つのクラスターに分けることができます。①全方位パパ15.6%、②ダブルスパパ19.0%、③なかま愛パパ5.0%、④自己PRパパ8.1%、⑤あとよろパパ24.7%、⑥グータラパパ27.6%―といった結果です。家事・育児の関与度がやや低い⑤や⑥のクラスターを合わせると52.3%となります。

6つのクラスター

あとよろパパ

グータラパパ

約半数が非積極的ということですね。そういったパパたちを育児・家事に参加させるには、ママはどういったコミュニケーションを取ればいいのでしょうか?

入澤:いくつか方法はあると思っていて、1つに「ゴールの共有」があると思います。前回の座談会で「“部分最適”と“全体最適”でパパママの得手不得手がある」といった話があったかと思いますが、パーツよりゴールイメージがママと違っていることがあると感じています。たとえば、「洗濯をする」という行為は、干して終わりではなく畳むところまで含むという話とか。これがパパには伝わっていない。パパって安直で、やった気になっている。対してママは細かく最終イメージまで考えている。だからゴールの共有が大事なのではと思っています。

服部:僕の場合で言うと、保育園に持っていく服で上下を用意すると、妻から「なんで上がボーダーで、下がチェックなの?柄×柄になってるじゃない!」なんて言われてしまう。このあたりの最終イメージがパパは苦手なのかもしれません。だから我が家ではこんなものを妻が用意してくれました。

見える化の工夫

尹:奥さんの工夫がすごいですよね。絵とか、言葉で具体的にディレクションできています。「見える化」するって大事ですよね。実感としてもHowToでつまづいてしまうことがあり、こういう細かい指示をもらえれば動きやすいです。パパも何度も聞くのも気が引けるし、ママも何度も聞かれるのはストレスだと思いますし。こうやって可視化することで、そういったストレスもなくなりますね。

入澤:ちゃんとタスクを分解して、1つずつこなせるようにすると、パパも取り組めるかもしれませんね。

たしかに、家事・育児の具体的なイメージが乏しいから、わかる範囲でとなると狭まっちゃいますよね。

服部:ほかにも、1回とりあえず最後まで任せちゃう、というのもありだと思います。パパに任せてみたもののできていないところがあって、ママが我慢できずに結局自分でやってしまう。それでママにはフラストレーションが溜まっていく。そういった負のスパイラルに陥っているママも多いと思うのですが、ぐっと堪えてパパにやらせてみる。

尹:娘が生後6カ月ぐらいのときに、妻が外出するときがあって、初めて娘と2人で過ごしました。怖いので妻の外出先の近くまで一緒に行って、そこで別れて新宿のデパートに娘で数時間過ごしました。授乳室は満杯で、娘が泣いても原因がわからず、いろんなことにテンパりました。ただこのおかげで必死になっていろいろと覚えました。

入澤:わかるわかる! 最初なにを用意すればいいかわからなかったけど、おもらししちゃったのを経験して、着替え一式をバックに入れるんだとか1つずつ学びましたね。

服部:私も2児目の出産時にワンオペ育児を3週間経験したことがターニングポイントです。強制的に対応しなければならない状況をつくるのは1つの手ですね。「獅子の子落とし」じゃないですけど(笑)。

尹:危なくないところは「まず預けてしまう」のはありだと思います。

そのほかに、有効な手立てはありそうですか?

尹:家事・育児は大変だ!という思い込みのハードルを下げる方法もあります。

服部:実はパパラボの活動でも、この分野に可能性があると考えています。

尹:我が家では、外のリソースをうまく活用することで効率化を図っています。たとえば外食をしたり、家事代行を利用したり。実際に、週1で家事代行を利用しているのですが、だいぶ家庭内の空気が変わりました。

空気が変わったとは具体的にどういうことでしょうか?

尹:毎週水曜日に来てもらって、お風呂掃除などの家事サポートをお願いしています。週の半ばってつらくなるじゃないですか? そんな状況で、家に帰って散らかった状況を見ると悲しくなる。だから水曜日に来てもらったことで、気持ちのクッションが持てるようになったと感じています。

服部:ほかにもハードルを下げる方法はあって。共働き世帯の増加に伴い、ロボット掃除機・全自動洗濯乾燥機・食器洗い機が、新・三種の神器なんて呼ばれています。これも立派な家事代行です。ほかにも食材を切って入れておけば自動で料理してくれる自動調理鍋なんて手もあります。このようにさまざまな家事のシチュエーションで利用できる家電をうまく活用することは、ママの時短というだけでなく、パパが家事に取り組むハードルを下げて、自分でもできるかも?と思わせる有効な手だと思います。

入澤:ほかには、読者の皆さんからすると当たり前かもしれませんが、Amazonやコープなどの宅配サービスを活用するのも、買い物のハードルを下げますよね。余談ですが、先日長男が家族の絵を描いていた時に、宅急便のおじさんが入ってました(笑)。

一同:顔なじみなんですね! そんなに利用しているってことですね(笑)。

尹:さらにとっつきやすいのが「遊び」です。家事ですらハードルが高いと感じているパパには、パパならではの遊ぶ機会を設けることが1つです。全部ママに任せればいいなんて思っているパパはこのご時世いなくて、やったほうがいいのはわかってるけれど、どうすればいいかわからない、なんて罪悪感を持っている人が多いと思います。そういうパパには、まずは「遊び」です。

服部:パパラボでは、「パパならではの遊び方」についてまとめて、周知する活動も始めています。

入澤:たとえばドライブが好きなパパは、車で普段行けないような公園や、戦隊モノのショーをやっているイベント会場に足を伸ばすとか。

服部:子どもだけじゃなくて、親も一緒に楽しめる遊びが重要です。ショッピングモールのフードコートって楽じゃないですか? でも果たして親も満足できているのかというとそうでもない。じゃあお互いに楽しめるところはどこかを探し始めてみるのも楽しいはずです。たとえば東京駅に家族でランチに行くと、丸ビルなどの施設には親がランチに満足できるような子連れOKのお店がたくさんあります。施設には乳幼児のトイレも揃っており、周辺や屋上には緑化された広場、さらに新幹線や電車が見られるスポットもあるので、ランチ前後に子どもも楽しめます。親が行きたいという視点で、子どもも楽しめる場所を見つけていく面白さがあるのではないでしょうか。

なるほど。たしかに最近はフェスも子連れでいけるなど一緒に楽しめる場所が増えていますよね。

服部:今後も、家事・育児に楽しく取り組む啓発活動や、それに伴う消費動向についてリサーチしていきたいですね。たとえば我々マーケターが、ママ商材だと思っていたものが実はパパ商材でもあるのでは?そしてその逆もあるのでは?といったように。クライアントワークにも活きるリサーチを続けていきます。

尹:ステレオタイプに、運動会ではパパがカメラ担当なんてことはなくて、いまはママも本格的なレンズを使ってバシバシ撮っています。保育園の朝の送りも、クールな電動自転車で疾走するパパをよく見かけます。このようにパパの仕事、ママの仕事っていう固定概念よりも、得意なことをチョイスしていったほうが幸せになれるかもしれないですね。

お話ありがとうございました! 家事・育児でも、言語化・可視化するという手は、クリエイティブ業界のママにとっては実行しやすい手法だなと感じました。次回は「子どもの将来」「子どもの教育」についてお聞きしていきたいと思います。

※2018年1月に取材した内容を掲載しています。

[PROFILE]服部嶺(はっとり・れい)

マーケティングソリューション局
ディレクショングループ
チーフ・プランナー

[PROFILE]入澤健太郎(いりさわ・けんたろう)

MCプランニング局
統合プランニング室
プランニング2部
シニア・メディア・プランニング・マネージャー

[PROFILE]尹錫祐(ゆん・そぐ)

コンテンツビジネス・デザイン・センター
グローバル・事業開発グループ
ソフト開発部
シニア・マネージャー