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春の訪れを告げる「イカナゴのくぎ煮」

働くママクリエイターが“本音”をつづる「ママクリ奮闘記」。仕事・子育て・家事・悩み……奮闘するワーママが日頃思っているあんなことやこんなことを、自由にお届けします!

春の訪れを告げる「イカナゴのくぎ煮」

こんにちは、ライター・コラムニストのせきねみきです。2021年は広島の3月11日を皮切りに、福岡や東京、京都などでも桜の開花宣言がありました。昨年同様、全国的に平年よりかなり早い開花になるようですね。春の訪れを感じるものといえば桜を思い浮かべる人が多いと思いますが、私にとっての春の風物詩は、地元・神戸の名物「イカナゴのくぎ煮」です。

イカナゴのくぎ煮とは、水揚げされたイカナゴをしょうゆ、みりん、ショウガ、砂糖などで水分がなくなるまで煮てつくる佃煮(つくだに)です。炊き立てのごはんはもちろん、お酒との相性も抜群。3月頭にイカナゴ漁が解禁になると、あちこちの家から食欲をそそる甘辛い匂いが漂ってきて、それは幸せな気持ちにさせてくれました。実家では、イカナゴのくぎ煮は父の担当。毎年明石の魚の棚(うおんたな)商店街まで買い出しに行き、帰るとすぐ大きな鍋で炊いてくれました。親戚にも毎年楽しみにしている人が大勢いるようで、たくさんつくってイカナゴ専用のレターパックで送ることが父自身の生きがいになっています。わが家では、夫の実家で収穫した白米と合わせていただくのが、この時季最高のごちそう。3月は体重が増えても仕方ないと割り切っているほど大好物なのです。

父からの年賀状に「今年は明石までイカナゴを買いに行けないと思う」と書いてありました。近所の百貨店の生鮮食品売り場でも買えなくはないのですが、毎年開店前から大行列らしく、争奪戦は必至。コロナが収まらない状況で、高齢の父に無理はしてほしくない。でも、心のどこかで「一口でいいから食べたい」と思う自分がいました。

今年はイカナゴが不漁で、価格も高騰。漁の解禁日である3月7日が高値のピークで、1kgあたり3500~4500円の値を付けたそうです。ちなみに、イカナゴは小さいほど高級とされています。私もパラパラとした小さなイカナゴのくぎ煮が好みです。

物心がついてから初めて、イカナゴのくぎ煮を口にしていない春を迎えています。私の中ではまだ「春が来た」と心の底から言えないような気がしてなりません。今まで考えたこともなかったけれど、通販で買うなり誰かに分けてもらうなり、どうにかして味わう手段はないものか……。ここ数日ずっとそんなことを考えています。

[PROFILE]せきねみき

兵庫県神戸市出身。新卒から勤めていた新聞社を退職後、フリーのライター・コラムニストに。カレーと電車とラグビーをこよなく愛する1児の母。嫉妬(しっと)するほど料理上手な夫と協力しながら、子育てと仕事のバランスを模索中。連載コラム『ママクリ奮闘記』(毎週更新)
<ホームページ>https://sekinemiki.themedia.jp/