転職は幸せの青い鳥か【キャリコン・ひつじ子、語る】
転職は幸せの青い鳥か
キャリコンひつじ子です。なかなか話し始めなかった2歳半の息子が突如ものすごく喋るようになりました。「ワンワン」「ラーメン」「ダンゴムシ」など日常にあふれる単語が出てくるのはわかるのですが、「めちゃめちゃ重い」「鬼がのしのし歩いてくる(彼の空想です)」など長い文章を呟いていたりして、教えた覚えはないのでびっくりします。自分がふいに口走った言葉を真似されそうで、正しい日本語を使わねば……と心に決める今日この頃です。
さて、コロナの影響で会社都合の退職となる場合もあると思いますが、日々キャリアコンサルティングをするなかで、自主的に退職をされている方が増えている印象があります。コロナの影響による環境や心境の変化をきっかけに転職を決断されている方は少なくありません。
2018年のデータですが「日本で定年まで同じ会社で働き続ける割合は、男性32%、女性6.5%(※)」のようです。この数字を見ると、既に終身雇用制度は崩壊していると言えるかもしれません。では、転職で自分の希望を満たす理想郷には、辿り着けるのでしょうか?
以前弊社に転職相談にいらしたWeb関連会社にお勤めの30代女性の方は、転職により年収アップを実現したい、という考えをお持ちでした。結局、ご自身で応募されたデジタル系の企業にご転職をされたのですが、1年半程してまた転職の相談にお越しになりました。
話を聞くと、転職により理論年収は前職より上がったのですが、転職後、最初の賞与が査定時期外であったため支給されなかったこと、入社日の関係で数カ月間の離職期間があったことで、初年度の源泉徴収票の金額はご自身の想定をかなり下回る結果だったそうです。
また、私が担当したある20代男性の方は、新卒でご入社された大手企業での業務が、日々ルーティンワーク中心であることに不満をお持ちでした。もっと自分の考えで自由に仕事を進めていける職場を探して、数カ月の転職活動の末、求人サイトから、とある小規模の広告制作会社に転職。しかし5カ月後には、その会社を辞めて、再び相談にいらっしゃいました。
聞けば、転職先の会社は、若手にも裁量権が与えられ、仕事の進め方についての自由度も高い反面、会社として教育体制が整っておらず、入社後のサポートもほとんど無かったそうです。そのようななか、業務に慣れていない彼のミスが原因で、一つのクライアントを失う事態に。その責任を負う形で大幅な給与ダウンを言い渡されたことが退職の理由でした。
このように、理想の転職をしたはずが、期待していた通りの結果とはならないケースは少なくありません。結局のところ、転職によって一時的に自分の希望を叶えたとしても、しばらくすると、予期していなかった問題が現れ、完璧なフォルムの幸せの青い鳥はどの理想郷に移っても現れないかもしれません。もしかすると最初に自分が居た場所で、自分の努力と工夫でその土地を耕し、快適な環境をつくっていった方が良かったのではないか……そんな考えも頭をもたげます。
転職は決して悪いことではありません。「仕事」という人生で一番長いかもしれない時間を笑顔で過ごせないことは悲しい面もあるからです。ただ転職が自身の不満を解決するための最適解とは限らないと思います。すぐに転職という解決法を選ぶのではなく、まずは、現状を見つめ直し、自分の進む方向をじっくりと見極めるのが得策です。
転職するのか、現職にとどまるのか、見極めが難しい場合は、ぜひ私たちのようなキャリアコンサルタントにご相談ください。市場を意識して客観的なアドバイスをいたします!
※シニアガイド.「定年まで同じ会社で働き続ける男性は32%、女性は6.5%」 https://seniorguide.jp/article/1148555.html(参照 2021-06-24)
【執筆者】キャリコン・ひつじ子
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