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「子どもが一番」の私のままでいい、すべてを諦めずにやれることから【ママ訪問】

「ママ訪問」では、ママクリエイターにリアルな働き方を語っていただきます。今回は、産業機械メーカーグループの制作会社で編集ディレクターを担当するMさんにお話を伺いました。美術制作やデザイナーとして始まったキャリアが、EC担当や編集へと大きく変わっていったというMさん。仕事や生活での転機、現職について、そして子育てとの向き合い方などを語っていただきました。


「やりたいこと」から「できること」へ
歩んできたキャリアと訪れたターニングポイント

──Mさんのこれまでのご経歴を伺います。

大学で舞台美術を専攻していたので、卒業後はテレビ業界に入り、美術セット制作に2年半ほど携わりました。次に日用品メーカーに入社し、最初は生産管理を担当。次第に商品企画、プロダクトデザインへと担当領域が広がっていきました。10年ほど勤めましたが、うつ病になってしまい、2年間休職することに。そのまま退職して、職業訓練校でWeb・EC運営を4カ月ほど学んだ後、それを活かして、EC担当としてアパレルメーカーにアルバイトで入社しました。

2年半ほど働いた後、妊娠・出産し子育てしていく中で兄弟をつくってあげたいと思いましたが、2人の子どもをその時の環境で育てるのは難しいと判断してJターンを決意。現在は、九州にある産業機械メーカーグループの制作会社で派遣社員として働いており、マーケティング部で社内報の編集ディレクションを担当しています。

──職業訓練校で学んだことをきっかけに、デザインからECへと方向が変わったのですね。経緯や理由を教えてください。

実は、そんなに前向きな理由で選んだわけではないんです。職業訓練校に通うことを考えた時も、最初はECよりWebデザインのクラスに興味がありました。前職で少しWebデザインもしていたので。

ただ、小さな会社は一人ひとりの仕事の範囲も広く任されることが多く、やりがいがある反面、休みが取りづらく忙しくなりすぎるため、もう難しいかもしれないと感じていました。

心療内科の先生から、「仕事の範囲を少し狭くして集中して働いてみる方がいいかもしれない」というアドバイスもあり、今までの「モノをつくって売る」仕事から「モノを売る」EC運営の仕事へ興味を持ちました。

──ECを学んでみていかがでしたか? Webデザインと近しい領域ではありますが、異なる部分も多いように思います。

マーケティングについての講義はすごく面白かったですね。それに、日用品メーカーでは、デザインした商品のデモ販売や商談に参加し、卸売業者向けのリーフレット作成や展示会にも携わっていました。そのため、EC運営の仕事も前向きにできそうだと感じました。

──職業訓練校でECを学んだ後の再就職はいかがでしたか? 仕事の選び方にも変化はあったのでしょうか?

休職の経緯もあって、仕事の選び方は変わりましたね。それまでは「やりたいことをやる」ために、テレビ業界やメーカーを選んでいました。ただ、この時は「自分ができること」、つまり「ECの知識+デザインスキル」が活かせる仕事を探しました。

この考え方の変化は、私にとっては大きな転機になりました。うつ病というきっかけではありましたが、「やりたいこと」以外でも働ける、生きていく方法があるんだと考える機会があったことで、働き方への視野が広がりましたね。

──3社目では実際にEC担当となったのですね。仕事内容やその企業を選んだ理由について教えてください。

アパレルメーカーのEC担当として、ECサイト・ECモールの運用やメルマガ制作などの業務を行いました。

この会社を選んだ理由は、やはりモノづくりをしている会社がよかったからです。私自身もECで商品を購入したことがありましたし、ブランディングに定評のある企業で、職業訓練校の授業でもよいECサイトとして取り上げられていて、興味を持っていました。業務では職業訓練校で学んだ知識を活かすことができ、ここでの経験は次のキャリアにも繋がったと思います。

──出産を経て仕事を辞めて、Jターンを選択されました。どのような経緯だったのでしょうか?

アパレルメーカーの在籍時に第1子を妊娠して、育休・産休を取りました。最初はそのまま復帰しようと思っていたのですが、夫もデザイナーで勤務時間が長いため、夫婦だけでは仕事と家庭の両立は難しいと思うようになって。どちらかの両親の手を借りるため、私の地元か夫の地元か、仕事が見つかった方へ引っ越すことに決め、それぞれ転職活動を始めました。それで、先に夫の転職先が決まったので、現在の九州へJターンをしました。

──その後、Mさんも九州で転職活動をされました。派遣会社を利用されていかがでしたか?

東京以外で転職活動をするのは初めてだったので、転職先や職種の選択肢が限られるのではないか、と心配していました。実際、自分のスキルが活かせる仕事、かつ、育児最優先の働き方ができる会社を探しても、なかなかご縁がなくて。それで、派遣会社を利用することにして、登録したのがマスメディアンでした。

仕事の紹介を受けられたことに加え、マスメディアンのコンサルタントの方も小さな子どもを育てるパパだということもあり、親身になってくれたのはありがたかったです。初めての派遣先で、子どもを理由に休むことで会社に迷惑をかけてしまわないか不安だったのですが、些細なことでも相談でき、助かりました。

──現在のお仕事の内容や勤務形態などについて教えてください。

産業機械メーカーグループの制作会社で、グループ社内報の編集ディレクションをしています。本社の広報担当者と協力しながら、グループ会社の広報や総務の方に書いてもらった原稿を編集し、デザインのディレクションをして、校了するまでを担当しています。働き方は8時半から17時のフルタイム勤務です。

社内報の仕事は面白いですが、これまでに馴染みのなかったBtoB企業なので、業界用語が多くて、そこには苦労しています。ただ、働く人にすごく優しい企業なので、仕事内容の面でも働き方の面でも、手厚くサポートしてもらえるのはありたがいですね。

例えば、出社するか在宅勤務をするかはわりと自由に決められます。今の上司にも子どもが2人いるため、仕事と家庭の両立の大変さをすごく理解してくれていて、保育園の迎え時間などに気を使ってくれます。

慣れない土地での新生活には不安がありましたが、現在の会社に出会ったことで、Jターンしてよかったと思えました。

夫の両親にも支えられている、でも子どもにはいい環境に

──現在は再び妊娠中というMさん。仕事と家庭の両立はどうされているのでしょうか?

その点は、Jターンして本当によかったと思っています。車で2時間のところに夫の両親が住んでいるので、子どもが風邪を引いたときや、仕事の納期や入稿前で忙しいときには、助けに来てもらうこともありますし、私と子どもだけで夫の実家に行って、そこで在宅勤務をさせてもらったこともあります。あまりにも頻度が高いので、ちょっと図々しいかなと心配にもなりますが、快く協力してもらっていて本当にありがたいです。子どもにもすごくいい環境だと思っています。

1人目の子はもうすぐ2歳。今は双子を妊娠中で、2024年2月から産休に入る予定です。また生活が変わりますし、2回目の妊娠出産とはいえ双子は初めてなので未知数ですね。ここ数年で妊娠、Jターン、転職と色々な転機があって、次はまさか双子とは…。ここまでハードルいらないんだけど、ちょっとやりすぎじゃない、と神様に思ってしまうこともあります。

──ご夫婦での家事の分担はどうされていますか?

育児と料理は私、それ以外の家事は夫が担当しています。ただ、夫は帰りが遅いですし、完璧は目指さずに、協力しながらやれることをやろう、という感じですね。あまり思いつめず、おおらかに。ルンバのような便利家電など頼れるものには頼っていますし、部屋がちょっと散らかっていてもあまり気にしません。子ども用のレトルト料理もよく使います。

うつ病、出産、Jターンを経て見つけた、今の私に合う働き方

──今後の仕事での展望や働き方について、どう考えられていますか?

今は仕事より、子どもが大切です。仕事と違って、子どもには私がいないといけないので、小学校までは子どもの安全や成長を見守ることが第一だと思っています。子どものために働いているということを見失わないようにしたいです。

そんな中でも仕事を続けるには、仕事への軸を持っていることや、いい環境でいい人と働くことが大切だと思っています。私は、「メーカーが好き」「モノづくりをしている会社が好き」という軸に合っている、働きやすい会社に出会えました。仕事も気に入っているのでここで働き続けたいです。

──子育てをしながら今後もクリエイターとして働き続けたい方へのメッセージをお願いします。

本当に少しずつのステップアップでいいと思います。

私は、かつては自分のやりたいことのために働いていましたが、今は子どもが一番大事で、完全に子どものために働いています。同じ気持ちの方も多いんじゃないかなと思うんです。ただ、そうなると、仕事選びの最優先条件は勤務時間になります。クリエイターは続けていけないと思う方もいるのではないでしょうか。

でも、せっかく今までやってきたことを諦めなくても、無理なく働ける場所がきっとあるんじゃないかなと思います。

私は、現職への就業が決まる前は、正社員での就職しか考えていませんでした。派遣で働くのは初めてでしたから、ためらいもありましたが、視野を広げたおかげで現在の会社に出会えました。派遣という立場ですから、今の会社に固執する必要もないと思うと気楽に働けますし、選択肢としてあってよかったなと思っています。

大きなステップアップは考えなくてもいい。コツコツと働けるところで、一緒にがんばってくれる人がいっぱいいたら嬉しいです。

──ありがとうございました。これからも「しゅふクリ・ママクリ」では、ワーママを応援していきます。
※2023年12月に取材した内容を掲載しています。


【インタビュアー】しゅふクリ・ママクリ編集部
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