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デザインの仕事を続けることが、子育てのエネルギー源になる【ママ訪問】

「ママ訪問」では、ママクリエイターにリアルな働き方を語っていただきます。今回は、グラフィック制作会社でデザイナーとしてのキャリアを積み上げ、現在は家事や育児と両立しながら、広告会社のデザイナーとして就業しているMさん(匿名)にお話を伺いました。これまでのキャリアや産休・育休からの復帰、求職活動、そして今後の展望を語っていただきます。

念願のグラフィックデザイナーになるまで

──Mさんのこれまでのご経歴を教えてください。

地方のデザイン専門学校でグラフィックデザインを学びましたが、卒業後は就職難ですぐにはデザインの仕事が見つからず、映像制作会社にアシスタントとして勤めました。1年後、映像ではなくグラフィックデザインの仕事がしたいと決心して退職。デザインの仕事を探しながら、契約社員として一般事務職の仕事に就き、約3年就業しました。

一般事務の仕事も続けながら、念願叶ってグラフィック制作会社でデザイナーとしてアルバイト就業することに。当初はダブルワークをしていました。それから1年ほどたって、アルバイト就業していた会社から契約社員として登用してもらえることになり、グラフィックデザインの仕事一本に絞ることに。ようやくデザイナーとしてのキャリアがスタートしたと実感しました。

この制作会社では、ファッション系のカタログデザインや撮影ディレクションなどを担当しました。ここで働いたことで、デザイン力を鍛えられました。ただ、かなり多忙な会社で、1年半ほどたった頃に体調を崩してしまったんです。それをきっかけに、働き方を改善するために転職を検討。知人の紹介で、2012年に広告制作会社に転職しました。そこでは6年勤め、2018年に結婚したことをきっかけに退職。それからしばらくはゆっくりしていました。

1年ほどたった頃、もう一度仕事をしたいと思うようになりました。近いうちに子どもがほしいと思っていたので、柔軟な働き方ができるよう、制作会社で派遣就業を開始しました。この会社での就業中に出産をして、育休・産休を取り、復職のタイミングで契約社員に登用となりました。しかし2022年、コロナ禍の影響で突然雇い止めに……。再度、転職活動をして、現在はマスメディアンから派遣という形で、広告会社のデザイナーとして働いています。

──結婚をきっかけに退職されたのですね。長く勤めた会社を辞めた理由は何だったのでしょう?

その会社では、ポスター、新聞広告、カタログ、SPツールなど、幅広い広告物の制作に携わり、グラフィックデザイナーとしてさらに腕を磨くことができました。ただ、その前の会社ほどではないものの、多忙な生活は続いていました。さらに、同じ会社にずっといたことで、担当案件や業務のマンネリ化を感じ始めていました。

環境を変えることも考えていたタイミングで、結婚をしました。近い将来に子どももほしいと考えていたので、一度、自分のプライベートに向き合い、ゆっくり自分のことを考えたいという思いが大きくなって。それで、リフレッシュする時間を取ってから再スタートしようと決意しました。

──あらためて仕事を再開するまでの経緯をお聞かせください。

失業手当を受け取りながら、長期の海外旅行に行ったり、まだできていなかった結婚式をしたり、引っ越したり。やってみたいと考えていたことを一通りやりました。プライベートの時間を大事に過ごせた期間だったと思います。

そうして1年ほどたった頃に「働きに出よう!」と思い立ちました。やりたいことをやって、十分休養を取ったと思えたし、実はその期間も、個人的に連絡をいただいた方の仕事を少しだけやっていて。やっぱりデザインの仕事をしていきたいと思っていました。

就職への意欲はある一方、出産などのライフイベントも大事にしたいと考えていました。そこで、柔軟な働き方ができる派遣で働くのもいいかもしれないと考えたんです。さっそく派遣会社に登録し、長期で雇ってもらえる制作会社を紹介してもらいました。そして、2019年8月からグラフィック制作会社で長期就業することになりました。

出産、育児、そしてコロナ禍中での復職

──新たな就業先ではどのような仕事を担当されていたのでしょうか?

主に教育教材系の案件を担当していました。教材の案内DMや、サンプル教材のデザインなどを手がけ、デザインのアイデア出しから参加し、入稿データ作成までを担っていました。

在職中に妊娠したのですが、出産の2カ月前まで仕事を続けていました(笑)。やっぱり仕事が好きで、働いている方が生活にメリハリを感じられたんです。だから、妊娠がわかったときから、ギリギリまで働こうと決めていました。

それから1年の産休・育休を取り、同じ会社に復職しました。産休・育休に対して理解のある組織で、復職はとてもスムーズでした。9時から16時までの時短勤務、リモートワークで仕事をしていて、とても働きやすかったです。また、復職に伴って、派遣就業から契約社員に登用してもらうことができました。

──復職後、苦労されたことや不安だったことはありましたか?

子どもを保育園に預けることには、やはり不安がありました。早めに復職したかったので、0歳から保育園に預けたのですが、最初の1カ月くらいは毎朝泣かれてしまって……。精神的につらくなることもありましたね。

保育園の先生から「1年目は、たくさん呼び出しの電話をかけることになると思います」と言われてはいたのですが、想像以上でした。いつ保育園から電話がかかってくるかと、ハラハラしながら仕事をしていた時期もありましたが、子育てに理解のある会社だったので、急なお休みや早退も了承を得やすく、助かりました。

──リモートワークもされていたとのことですが、その点はいかがでしたか?

子どもが小さいうちはとても助かりました。朝は、通勤時間がないだけでも随分楽でしたし、お昼休みに少し家事ができるのも良かったです。音楽やラジオが好きなこともあり、仕事をしながら耳からインプットができることも、リモートワークの恩恵だったと思います。

育休中は、子どもと向き合っている時間が圧倒的に多かったので、仕事をしていると、自分の時間を持てた気がしてとてもうれしかったですね。「やっぱり自分はデザインの仕事が好きなのだ」とあらためて思いました。

想定外の雇い止め、大急ぎの就職活動

──仕事が喜びでもあったのですね。しかし、その後、働き続けられなくなったとのことでした。

2022年4月、コロナ禍の影響で、契約更新が難しいと会社に伝えられたんです。会社の雰囲気も仕事内容も好きだったので、ずっとその会社で働きたかったのですが……。仕事と育児の両立の大変さ以上に、この経験は私にとって重いものでした。

そして、子育てにも大きな影響がありました。私が生活する地域の認可保育園に子どもを預け続けるには、自治体の設ける「求職猶予期間2カ月以内」に就職先を決め、就労内定証明書を提出する必要がありました。2022年5月から転職先を探し始めたので、7月までに仕事を決めなければいけなかったのです。

──転職先はどのように探したのですか?

第一優先は働き方でした。この業界は残業が多いこともあり、小さい子を育てながら正社員で働くことは簡単でありません。ですので、今回も派遣で働くことを視野に入れて求職活動をしました。

急いで求職活動をしなければと思った時に、宣伝会議の発行する月刊誌でよく見かけていた、マスメディアンの「しゅふクリ・ママクリ」の広告を思い出したんです。結婚・出産をしても働き続けたいママクリエイターに寄り添って、転職をサポートしてくれるサービス。いつか自分も出産して転職するときには利用してみたいと思っていました。それで、「しゅふクリ・ママクリ相談会」に申し込んでみたんです。そこで、いま勤めている広告制作会社を紹介してもらい、約1カ月で次の仕事が決まりました。

──現職では、どのような働き方をされているのでしょうか。

9時から5時までの週5日勤務で、フルリモートワークです。担当業務は、カタログや商品紹介リーフレットなど、印刷物全般のデザインです。クライアントと対面して話す機会もあり、やりがいを感じています。勤務時間は長く取れなくても、クオリティの高いものをつくることは諦めたくなかったので、いまの会社で働けてよかったと思っています。

仕事とデザイナーとしてのチャレンジ、そして家庭を両立する

──仕事と家庭の両立の中で、気を付けていることがあれば教えてください。

仕事と育児への向き合い方としては、「仕事を、自分の息抜きできる時間だと思って楽しむこと」「育児をがんばりすぎないこと」の2つに気を付けて生活しています。

そのためにも、仕事と育児・家庭のバランス調整には気をつかっています。たとえば、子どもが体調を崩しそうな時は、できるだけ仕事を前倒しで進めて、急な対応に備えています。

また、忙しさのあまり睡眠時間を削ってしまうこともありますが、自分が疲れてしまうと、仕事にも育児・家事にも大きな影響が出てしまいます。睡眠を取れる時はしっかり取り、体を休ませるように心がけていますね。割り切って「今日は休んで、明日がんばろう」と休息を優先させることもありますし、どうしても休みにくい時は「今日はがんばって、明日はちょっと気を抜くぞ」とタスクを優先することも。特に仕事はメリハリのつけ方が重要だと思っています。

──デザインの仕事を続けていく上で、今後の展望やチャレンジしたいことはありますか?

休める時は休み、逆に余力のある時はフリーランスでイラスト制作の仕事を引き受けています。これは今後に向けた、自分なりのチャレンジでもあるんです。これまでのデザイン制作とは違った刺激が得られます。新しい経験の場としてのフリーランスの仕事と、自分の経験を活かせる現職の仕事をしっかり両立させていきたいです。

そういう意味では、リモートワークという働き方には、すごく助けられていますね。仕事と家庭の両立だけでなく、仕事と仕事の両立も目指しているので(笑)。一方で、多くの人と一緒に何かをつくり上げていく仕事にも惹かれています。もう少し子どもが大きくなったら、しっかりチームにコミットできるよう、正社員就業もできるといいなと考えています。

がんばってきた仕事の経験が、働く母親自身を支えていく

──ママクリエイターへのメッセージをお願いします。

がんばってきたこれまでの仕事の経験は、今後の子育てや、家庭と仕事の両立を始めとするさまざまなシーンで、働く母親である皆さんを支えてくれると思います。私がこの仕事を続けられているのは、結婚前に正社員のグラフィックデザイナーとして粘り強くデザインに向き合い、懸命に働いたことへの自信が支えになっているからです。「デザインが好き」というのも大前提としてありますが、さまざまな経験やスキルを身につけようと努力したあの時の自分がいるからこそ、いまがあると思っています。

それでも、苦労することがあるかもしれません。そういう時は、家族など周囲の人を頼ることも大切です。私も、長く勤めたいと思っていた会社から契約終了を告げられた時はとても落ち込みました。その時に、家族が冷静な視点で相談に乗ってくれたり、私の話を聞いてサポートしてくれたおかげで、乗り越えることができました。

ただ、自分以外の誰かの意見や体験談を重く受け止めすぎないように。仕事や家庭、子育てに対する、「自分の気持ち」を大事にしてくださいね。働き方も子どもとの関わり方も、本当に人それぞれです。これからママになるクリエイターの皆さんも、あまり周りに左右されずに、自分が一番心地よく働けて、生活できるバランスを焦らずしっかり考えていきましょう。そうすることで、楽しく無理のない仕事と家庭の両立や、キャリアアップを考えていけるのではと思っています。

──ありがとうございました。これからも「しゅふクリ・ママクリ」では、ワーママを応援していきます。

※2023年5月に取材した内容を掲載しています。


【インタビュアー】しゅふクリ・ママクリ編集部
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