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完璧にこだわりすぎず、仕事も子育ても笑顔で楽しむ!―リコー UXデザイナー 福丸幸子さん【輝く!ママクリ】

仕事に、家事に、育児に…、忙しいけど面白い! 今、巷で活躍しているワーキングマザーを取材しました。第6回は、リコーで新規事業のUXデザインを担当する福丸さん。UXデザイナーの仕事のやりがいや家庭での過ごし方、更には育休中に家族の海外転勤でロンドン生活を経験して復職した際の率直な気持ちなども教えてもらったので、ご紹介します。


1 経歴や職場・家庭の状況は?

――複合機やプリンターといったオフィスのデジタル機器の製造・販売や保守サービスでおなじみのリコーでは、企業の使命と目指す姿として「“はたらく”に歓びを」をスローガンに掲げて活動しています。近年、製造業からデジタルサービスの会社への転換を打ち出し、デジタル技術を活用したUX(顧客体験)の向上や、ビジネスモデルの変革にも取り組んでいます。

今回は、リコーでUXデザイナーとして活躍する福丸さんを取材しました。まずは、ご自身のご経歴や育児休業の取得状況について、お話を伺いました。

リコー プロフェッショナルサービス部 総合デザインセンター 価値共創UXデザイン室 デザイン1グループ 福丸幸子さん

――ご経歴について、簡単に教えてください。

福丸:2010年に新卒でリコーに入社して以来、ずっとデザインセンターで働いています。入社後しばらくはオフィス機器のUIデザインや、360度カメラのRICOH THETAのアプリデザインを担当していました。2018年に育休・産休に入り、2022年5月に復職してからは新規事業サービスのUI/UXデザインに携わっています。

リコーは、さまざまな業界や現場で働く方のお仕事を楽に、快適にするためのサービスを提供しています。私は、介護業界や宿泊業界・サービス業界で働く方々に向けた新しいサービスの商品化に、デザイナーとして参加しています。

――お子さんの出産時期と育児休業の取得期間を教えてください。

福丸:2018年3月に男の子、2020年4月に女の子を出産しました。第一子の育児休業を1年間取得して職場復帰しようと思い、保育園の申し込みも済ませてちょうど内定をもらった時に、別の会社で働く夫の海外転勤が決まりました。それで息子が1歳の2019年、家族でロンドンに引っ越しました。

ロンドンで第二子を妊娠・出産をして、1人目の育休が2年、2人目の育休も2年、合計4年休業したところで、夫の帰国が決まり、一緒に戻ってきました。

――復職はどんなタイミングでしましたか。

福丸:2022年3月末に帰国して、4月は子どもの慣らし保育期間で、5月から職場復帰しました。保育園探しはイギリスにいる時から始めました。3歳だった上の子はどうにか決まったのですが、1歳だった下の子は、認可保育園がキャンセル待ちの状態で入れなくて。預け先が見つからなくて復帰できなかったらどうしよう…と、当時は本当に心配でした。認可外保育園になんとか入れた時にはすごくホッとしたのを覚えています。

――4年間のブランクがありましたが、職場復帰はどうでしたか。

福丸:休業中にオフィス統合があって、勤務地が変わりました。また、新型コロナウイルスの流行もあり、リモートワークが浸透していて、社内のシステムなども大きく変わっていました。違う会社に来たのではないかと思うくらいでしたね。ゼロスタートの気持ちで頑張っていましたが、最初の1カ月間は、リハビリのような形で慣れるのに一生懸命で、周囲には助けてもらってばかりで申し訳なかったです。

ただ、私の心情としては、4年間も休んでいたので、働きたい気持ちが自分の中にすごくチャージされていて。大変ではありましたが、むしろ楽しい、もうこれ以上休まなくていいかな、と思っていました。

2 仕事のやりがいや工夫、働き方については?

――UXデザインのお仕事の内容ややりがい、そして現在の働き方についても教えてください。

福丸:仕事をしていると、思いがけない体験や新しい知識を得る機会に恵まれます。私自身も、仕事を休んでいた時には気がつきませんでしたが、復職してからそれが貴重で、楽しい時間だと実感しています。

――フルタイムで働き、とても忙しいはずなのに、どこか楽しそうな福丸さんの姿に、“はたらく”ことが歓びになるのだと再認識しました。就職の際に、リコーを選んだのはどういった理由でしたか。

福丸:大学ではインダストリアルデザインを専攻していて、プロダクトデザインや、インテリアデザイン、グラフィックデザインなどを学んでいました。イタリアからの交換留学生と話しているうちに海外に興味を持って、1年間ミラノに留学しました。帰国後、「iPhone」が世の中に出てきたり、さまざまなWebサービスやアプリケーションサービスが増えてきたりして、これから新しいものがどんどんできていく世界のデザインに自然と興味が向きました。

就職活動では、メーカーのインハウスデザイナーを中心に応募しました。その中で縁があったのが、リコーでした。

リコーは、働く人に向けたサービスや製品づくりという点で面白そうだったのと、当時、デザインセンターのトップの方が女性で、そういう会社は他になかったのですごくいいな、働きやすそうだなと思いました。それに、海外拠点もあり、海外の仕事もできると聞いて、魅力的に感じていました。

――現在担当しているUXデザインの仕事は、具体的にどんなお仕事ですか。

福丸:まず、調査をやります。リコーは主に企業向けのサービスを提供しているので、お客さまの仕事をよく理解するために、会社・社員の価値観といった企業理念や業務内容、お困りごと等をお客さまから直接ヒアリングします。

それに基づいて分析をし、仮説を立てます。ターゲットは誰か、解決すべき課題は何か、それに対して私たちが提供できるアイデアはどういうものがあるかを考えます。

そこで出た解決策やアイデアのうち、実現したいものをデザイナーがビジュアライズします。サービスの使用シーンやシナリオを絵に起こしたり、アプリの画面や操作フロー、ワイヤーフレームをつくってみて操作性を考えたり。更に進むと、プロトタイプを作成し、操作感の確認・検証作業へ入っていきます。

――今の仕事のやりがいや面白みは、どんなことですか。

福丸:サービスの企画段階から参加できることですね。デザイナーが得意とする可視化や具現化だけでなく、調査や分析、ヒアリングといった領域にも携われることで、今までの自分にない力がついて、面白いです。

また、デザインセンターでは今、リスキリングに力を入れていて、いろいろな研修プログラムが用意されています。昨年は、「OOUI(Object Oriented User Interface:オブジェクト指向UI)」という手法を勉強し、それを使ってアプリケーションを制作しました。英語を使って仕事をしたいという気持ちもあったので、海外の開発メンバーと一緒にアプリケーションをつくるプログラムにも参加しました。新しい知識をこれからも得て成長していきたいです。

――お子さまも小さい中で、外部の人との打ち合わせなどがあるお仕事だと、調整が大変ではありませんか。

福丸:よくあることなのでしょうが、やはり子どもが急に病気になってしまった時には、自分の仕事をやりくりするのはすごく大変です。そういうときには、夫とスケジュールを突き合わせて対応しています。夫の会社も在宅勤務ができるので、2人で在宅勤務に切り替えたり、午前と午後でそれぞれ休暇を取ったり、フレックスタイム制を使って就業時間をずらしたり。

ただ、やはり、どうしても調整ができない時はあって。出席できない打ち合わせは録画してもらって、後からキャッチアップしています。急なお休みは、やっぱり心苦しいですね…。一時預かりやベビーシッターなどのサービスもうまく使っていきたいのですが、まだ手探りです。

――育児や家事の経験が、仕事に活きたと思うことはありますか。

福丸:限られた時間の中で集中して取り組むようになりました。仕事以外の時間は育児の時間になるので、自分が働ける時間はここしかないというのが明確ですから。例えば、子どもがいつ風邪を引いて仕事を休まなければならなくなるかわからない不安は常にあるので、どんな仕事もできるだけ早め早めに進めて、余裕を持つようにしています。

――会社の人事制度やサポートで役に立ったものはありますか。

福丸:2018年に育児休業に入った後、先ほどお話したように、そのまま夫の海外転勤に帯同することになって。会社には配偶者転勤特別長期休暇(帯同休暇)という制度もあったので、「一緒に行くなら退職しないといけないかもしれない」という不安を持たずにいられたのはありがたかったです。

それに、デザインセンター内に、帯同休暇でイギリスに行かれていて、私の復職の半年前に復職された先輩がいました。その方と同じチームで復帰させてもらえたのがありがたかったです。子どもの送り迎えや残業のことなど、具体的なアドバイスをもらえていたので、どうにか対応できるんじゃないかと思えました。

このように働きやすい環境を整え、サポートをしてもらえていたので、休業や復職に対する不安は少なかったですし、復職後の育児との両立がしやすい会社だと思っています。

3 日々の暮らしの中で大切にしていることは?

――ご家族での家事分担はいかがですか。

福丸:特に決めていませんが、私は主に料理をして、夫が食器を洗ったり、お掃除をしたりすることが多いです。日々やらないと家が回らない料理や洗濯は毎日こなし、最悪毎日やらなくてもいい片付けや掃除は土日にやればいいというスタンスです。

食洗器や乾燥機など、時短家電には頼っていますね。仕事に集中していて、気が付いたら定時を過ぎていて慌ててお迎えに行くことも多々あります。夕食をつくる時間を短縮するために、最近、自動調理器を買ってみました。それと、食材がすべてそろっていて、あとは炒めるだけという状態で届くミールキットもすごく便利です。便利なものを取り入れて、何とか負担を減らそうとしています。

――普段の生活の中で大切にしているのはどんな点ですか。

福丸:仕事も家事も子育ても、どれ1つを取っても大変なのに、それを複合してやるというのはすごく大変なこと。だから、頑張りすぎないようにしています。

「仕事と育児の両立」という言葉がいろいろな場面で出てきますが、両立できることってそんなに当たり前のことなのかな?と思っていて。

だから、仕事に疲れてご飯をつくる時間や気力がないなら、子どものお迎えに行った足でそのままスーパーへ行き、お惣菜を買ってお惣菜パーティーをしてもいいし、子どもがすごく疲れて泣き止まない日にはお風呂はスキップして次の日の朝に入れたっていい。そういう「ゆるさ」が大事かなと思っています。完璧でなくてもいい、どっちも頑張りすぎなくていいんだと自分に言い聞かせています。

家族みんなが笑顔で一日を終えられれば、もうそれですべてよし。一種の割り切りかもしれませんね。みんなで笑顔で過ごせるように、自分にも余裕があって子どもも嬉しいということが、大事かなと思っています。

――世間では、産後パパ育休の取得促進を行う企業も少しずつ増えてきて、徐々にではありますが、育児がママだけの仕事ではなく夫婦の共同事業のように変わってきています。そうはいっても、日々の負担は軽くはありません。だからこそ、「家族みんなが笑顔で一日を終えられれば、もうそれですべてよし」と語る福丸さんの素の言葉には、共感せずにいられません。本日はお話お聞かせいただき、ありがとうございました。


【執筆者プロフィール】シキノハナ

編集者・ライター 兼 華道家。東京都出身。ビジネス雑誌の編集長を経て、複合サービス企業へ転職。約16年間にわたり、広報を軸とした企画業務に携わる。現在はシキノハナを主宰。仕事に、家事に、育児に…と、忙しい女性を心からリスペクトし応援する。
<ホームページ> https://shikinohana.com/

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