
自己肯定感を高めて、仕事も生活も全力で課題解決―オイシックス・ラ・大地 プロモーション室マネージャー 竹下友希さん【輝く!ママクリ】
仕事に、家事に、育児に…、忙しいけど面白い! 今、巷で活躍しているワーキングマザーを取材しました。第8回は、食品宅配サービス「Oisix」
のプロモーションを担当する竹下さん。仕事のやりがいや復職した際の率直な気持ち、キャリアについてのお考えなどを教えてもらったので、ご紹介します。
1 経歴や職場・家庭の状況は?
有機野菜や特別栽培農作物、無添加食品やミールキット(食材とレシピが入った料理セット)などを定期宅配するオイシックス・ラ・大地(以下オイシックス)。2000年に設立され、現在、「Oisix」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」などを運営しています。安心安全にこだわった食材や種類豊富なミールキットに定評のある「Oisix」のプロモーションを担当する竹下さんに、まずはご経歴や現在の状況についてお話を伺いました。

――ご経歴について、簡単に教えてください。
竹下:新卒で2009年にWeb制作会社に入社し、リスティング広告のコンサルティングや運用を2年半ほど担当しました。2011年にリクルートに転職し、「ホットペッパーグルメ」という飲食店情報メディアの営業を4年ほど行った後、2015年に元リクルートの社員が立ち上げたベンチャー企業に参画。そこで、営業チームのマネジメントと、飲食店やヘアサロンの立ち上げに携わりました。
そして、2019年6月、オイシックスに入社しました。EC事業本部の配属となり、当初はOisixの既存会員に向けたサービスの担当で、月の利用料が定額のサービス「牛乳とか飲み放題」や「野菜とフルーツ」などの特集ページの企画・制作などに携わりました。
2023年4月にプロモーション室へ異動になり、現在は新規会員を広告などによって獲得していくための業務を担当しています。
――育児休業の取得時期と復職のタイミングを教えてください。
竹下:2021年5月から2022年4月まで、産休・育休を取得し、子どもが生後11カ月の時に、保育園入園を機に復職しました。
復帰直後は、週2日から3日、リモート勤務をしました。事前申請が不要でリモートに切り替えができたので、そこはすごく良かったです。子どもが保育園へ登園する際にぐずって時間がかかってしまい、出社だと始業に間に合わないという時にも助かりました。
――職場復帰の際に、不安はありましたか。
竹下:すごく不安でした。生後11カ月ですから、まだ授乳をしていて、夜泣きも最低2回はあるような状況でした。仕事を優先するために計画的に断乳しようかとも思いましたが、私の意思ではなく子ども自身の意思で卒乳させてあげたいなという気持ちとの葛藤がすごくて。結果的に子どもを優先して、授乳しながらの職場復帰を選びましたが、その点はものすごく不安でした。
当時のマネージャーは、年下で男性、しかも私がちょうど産休に入るタイミングで入社された人で、職場復帰の挨拶が「はじめまして」といった状態でした。けれど、時短勤務で復職した私に、「何か手が回らない仕事があれば、僕の方で巻き取ります」といった言葉を何度かかけてくれて、ありがたかったです。仕事をお願いして帰ったこともあり、すごく安心感がありました。
また、人事部からも、「復職後の勤務時間は柔軟に変えられる」、「1回やってみて難しいなと思ったら、すぐに調整しよう」という言葉をかけてもらったことも嬉しかったです。
2 仕事のやりがいや工夫、働き方については?
続いて、プロモーションのお仕事のやりがいや現在の働き方、キャリアについて伺いました。復職後、忙しい女性のリアルな姿が自分の経験を通じて想像できるのでそれを活かして働きたいと話す竹下さんは、前向きでとても頼もしく感じました。

――転職の際に、オイシックスを選んだのはどういった理由でしたか。
竹下:もともとは飲食店がすごく好きで、飲食店をつくる仕事がしたいと思っていたんですよね。ホットペッパーグルメは飲食店に関わる広告営業ですし、その次に働いたベンチャー企業では飲食店の経営にも携わりました。ただ、その中で、「もっと多くの人の日常の食卓に関わる仕事をやってみたい」と思うようになったんです。
一人暮らしの時に、仕事が忙しくてコンビニ食が続いていた時期がありました。栄養バランスが気になっている中でOisixの野菜やミールキットを食べた時に、本当に美味しいなと感動して。とても良いサービスだと思っていたので、この会社で働いてみたいと思いました。
――現在担当しているプロモーションの仕事は、具体的にどんなお仕事ですか。
竹下:新規にOisixを使っていただけるお客さまを獲得するためのプロモーションで、例えば「おためしセット」の企画などです。
お試しができるのは1回だけなので、その内容で満足度をどれだけ高められるか、Oisixを使いたいなと思ってもらうきっかけになれるかを考えて、セットに入れる商品を選定しています。
――仕事のやりがいや面白みは、どんなことですか。
竹下:根本にあるのは、食に関する仕事が好きだという思いです。
加えて、子どもが生まれてからは、毎日の献立や栄養バランスについて、真剣に考える時間がかなり増えました。産後に働く人たちにとっては、本当に助けてほしいポイントが多い分野だと、自分が体験して実感しましたし、1ユーザーとしても、もっと進化してほしい分野です。その分、競合他社も多いのですが、本当に困っている人が使ってくれているサービスで、お客さまをリアルに想像できるので、大きなやりがいにつながっています。
――育児や家事の経験が、仕事に活きたと思うことはありますか。
竹下:私自身の経験ではないのですが、最近、お客さまインタビューで、深く共感したことがありました。
家族の健康のために食卓に週2~3回はお魚を取り入れたいのだけれど、魚の値段が高いし、ボリュームが出ないし、子どもが喜ばない。総合的にコストパフォーマンスが悪く、できていないというお声です。
ちょうど「お魚おためしセット」というサービスのWebページの訴求をチームで検討しているところだったので、お魚だけでなく副菜もセットにするとこんな食卓が完成しますよといったご提案など、訴求する方向性のアイデアのきっかけになりました。
――育児や家事の経験を経て、ご自身で変わったなと思う点はありますか。
竹下:「自己肯定感を高くする」ということでしょうか。実は、これは「復職式」という育休から復職する社員版の入社式で、当社の社長が話していたことなんですけど。
もともと私は仕事がすごく好きで、残業もしていたし、自分が納得いくまで全力で仕事をしていました。しかし復職後は、時間に制限がある中で結果を出さなければならない。それはやはり難しくて、点数をつけたら100点満点で70点ぐらいかもしれません。でもその中で「できたこと」を見つけたくて、今は、とにかく何かしら学ぶことを意識しています。「今回のこの仕事での学びは何か」「次に生かせることは何か」を考えながら、仕事に取り組んでいます。
――今年(2023年)1月にマネージャーになられたとお聞きしました。キャリアについて、どのようにお考えですか。
竹下: 時短勤務をしているマネージャーは、まだ社内でも多くありません。昇進の話を聞いた時には、「今の働き方で引き受けて大丈夫かな?」と少し不安にもなりました。でも、時短でもマネージャーになれるのだと周囲から思ってもらうことも大事なのかなと考えています。
20代の頃は明確に目標を決めて、そこに向かって走っていくタイプでした。何歳までに何をやるか、結婚も出産もキャリアも逆算して計画を立てていたのですが、今は1年後も見えないところを走っている感覚です。とりあえず日々の仕事や生活に対して全力で課題解決をしにいって、その先で振り返ってみたらキャリアができていた、という考え方でいいかなと思っています。
今の私のたどっているこのプロセスを仕事に生かしたいんです。共働きで、とてつもなく忙しい女性の等身大の姿が自分ごとのように想像できるので、自分が生活をしていて「こうだったらいいのに」と感じたことを生かして働きたい。常にお客さま視点に立って考えるという癖を、改めてつけるようにしています。
3 日々の暮らしの中で大切にしていることは?
真っすぐに全力で仕事に打ち込む竹下さん。さぞかし時間のやりくりが大変だろうなと思うところですが、普段の生活の中では、夫婦で話し合う時間が増えているそうです。小さな不満もためこまずに、きちんと伝えて課題を一つひとつ解消していくという姿勢は、きっと仕事にも通じているのでしょう。見習いたいなと思いました。

――ご家族での家事分担はいかがですか。
竹下:役割分担については、夫とものすごくけんかした末に、家事を細かく洗い出して分担していくことにしました。最初は私がやっている分量が多かったのですが、それだと回りません。夫も私も今はほとんどリモートワークをしていないので、話し合って。そういう風にしています。
また、お互い本当に忙しかった時に、家事代行サービスを利用しました。おっかなびっくりで1回頼んでみたらすごく良かったので、本当に切羽詰まった時にはまた頼もうかと思っています。
――普段の生活の中で大切にしているのはどんな点ですか。
竹下:夫も働いていてお互いに忙しくなってくると、いったい何のために働いているのかわからなくなる時があるので、常に夫婦で話す時間を持つようにしています。
以前は、少し我慢したり目をつぶったりすることもありました。ただそれだと小さなこととはいえたまっていってしまうので、よくないなと。今は、行動を変えてほしいポイントやイライラしているポイントをきちんと言語化して共有し、解消する方法を話し合っています。とても小さなことですが、「あなたは食器を洗っている時にすごくイライラしているよね。それが嫌なんだけど。私が食器洗うから、あなたはお風呂掃除やって」と交換を提案するとか(笑)。
なぜ相手がイライラしているのかわからないのはもう嫌だと、夫も感じていたのだと思います。
――ありがとうございました。
【執筆者プロフィール】シキノハナ

<ホームページ> https://shikinohana.com/