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子どもの成長とともに、自身もライターとしてキャリアアップ(後編)【ママ訪問】

「ママ訪問」では、ママクリエイターにリアルな働き方を語っていただきます。今回は、食品メーカーで編集・ライターとして活躍されているAさん(匿名)にお話を伺いました。前編では、東京から地方都市への移住を経て、出産、復職されたAさんの働き方の変遷を中心に伺いましたが、後編では現在の仕事内容や今後の展望についてお届けします。

【この記事は前後編です:前編はこちら】

編集から広告制作へ、領域を広げる

──現職の食品メーカーでの仕事内容を教えてください。

前職の編集部閉鎖にともなって退職後、マスメディアンに登録し、2019年から食品メーカーで派遣社員として勤務しています。初めは広告物の進行管理業務がメインだったのですが、次第にコピーライティングや編集業務も任せてもらえるようになりました。現在は、商品に同封する会報誌や自社アプリ内のレシピ、ハガキDMなど、自社の制作物に幅広く携わっています。

──仕事内容が変わって大変だったことはありましたか?

「広告」というものの考え方に慣れるまでは大変でした。以前の仕事でも広告制作に携わったことはありますが、しっかりと学んでいたわけではありませんでした。また、「誌面をつくる」という流れは同じでも、読み物の記事を書くことと、「売る」ための広告は根本が大きく異なります。ただ伝えるだけでなく、お客さまの抱えている問題を解決する、購入という行動につなげてもらうのは難しいと感じましたね。コピーライター養成講座に通ったのもちょうどこのころです。以前から興味を持っていたので、広告制作に携わるようになったこのタイミングできちんと学んでみたいと思ったのです。また、当時子どもが年長さんで、小学生になって生活スタイルが大きく変わる前に受講したいという思いもありました。

いまでは仕事にも慣れて、コピーの面白さがやっとわかってきたところです。新商品や重要商品のコピーも少しずつ任せてもらえるようになってきました。今後は、コンセプトやネーミングにもチャレンジしてみたいです。

──働き方について教えてください。

勤務時間は9時から17時まで、週4日働いています。前職よりも1日の業務時間が1時間ほど長くなったのですが、子どもの朝晩のお世話も楽になっていたので、そこまで負担に感じることはありませんでした。勤務日数については、子どもを生後4カ月という早い時期から保育園に預けていたこともあり、もう一度子どもとゆっくり過ごす時間がほしいという気持ちから、相談して週4日にしてもらっています。

また、コロナ禍を機に在宅勤務制度が導入されました。最初の緊急事態宣言時は、ほぼ毎日在宅勤務だったのですが、現在は事前に報告しておけば各自の裁量で在宅勤務を選択することができるようになりました。基本的には出社し、仕事の状況やコロナ禍の波を見ながら、在宅勤務を取り入れています。

──出社と在宅勤務、それぞれのメリットはどのように感じていますか?

出社のメリットは、社員間での相談のしやすさです。社内デザイナーと一緒に進める仕事が多いのでいつでも相談できるのは大きなメリットですね。また、設備環境の面でも、紙媒体の制作にあたっては、いつでも校正を出力して確認できたほうがいいので、会社にいるほうが進めやすいと感じます。仕上がりをパソコン画面上ではなく紙で見たほうが誤字・脱字に気づきやすかったり、サイズや色味がイメージしやすかったりするので。

一方で、まとまった量のコピーを書きあげたいときは、在宅勤務のほうがひとりで集中できるのではかどります。どちらもメリットがあるので、私がいま担当している仕事で考えると、半々くらいの割合が働きやすいかもしれませんね。

──食品メーカーでの仕事の傍ら、副業もされているそうですね。どのようなお仕事をされているのですか?

月に1~2件ほど、旅行関連のサイトで観光スポットを紹介する記事を書いています。過去にはママ向けのWebサイトに育児体験記を書いていたこともあります。いまも無理のない範囲で、趣味程度に少しだけ続けています。前職でも幸い会社から許可が下りましたし、現在は派遣なので続けても問題ないということで、かれこれ10年ほどになります。現職では自社の制作物のみを手掛けているので、たまに違う仕事をすると視野が広がる感じがします。頭の別の場所を使っているような感覚でしょうか。

コンプレックスが武器になった

──転機はありましたか?

東京で編集に携わっていたころ、社員3~4人の小さな会社でなんでも経験できたことです。雑誌や書籍、Webコンテンツ、企業の広報誌など、多種多様な案件にチャレンジできたのは、自分のキャリアにおいて得難い経験ができたと思っています。

一方で、「これが得意」という特化したものがなかったことはコンプレックスでもありました。旅行やグルメ、スポーツなど、なにか自分の強みとなる分野を持っていないと、年齢を重ねてから仕事で困るだろうと思っていました。それを見つけられないまま移住することになったのです。

しかし、地方で働いてみると、東京のように専門分野に分かれたライターやエディターが多くいる環境とはまた違い、一人でなんでもこなすことが求められました。コンプレックスにも感じていた幅広い経験が、強みになったような気がしています。また、「子育て」や「食」といった分野においては、自身が主婦であり母親であることも活かすことができ、次第に得意分野と言えるようになってきました。

──出産を経て、仕事への向き合い方に変化はありましたか?

自分のためだけではなく、「誰かのために働く」という意識が強くなったと思います。子育てをしていると、「思い通りに動けない」、「時間がない」という大変さを経験するので、ママさんに限らず、自分の仕事が困っている人の助けになれば、という意識が生まれました。

また、仕事の進め方についても、より前倒しでスケジュール管理をするようになりました。予期せず保育園や小学校から呼ばれるかもしれないので、常に余裕をもっておく必要があります。以前は目の前のことに必死だったのですが、いまは締め切りの1日前に終わらせたり、進捗共有のメモを細かく残したりと、不測の事態に備える行動を心掛けています。

──将来どのような働き方を目指していますか? 今後の希望や展望をお聞かせください。

もう少し子どもに手がかからなくなれば、週5日の勤務に増やしてもいいかなと思っています。子どもはいま小学校2年生になり、身の回りのお世話という点では手がかからなくなりましたが、宿題のチェックや小学校のPTAなど、保育園のときとは違う大変さがあります。そういったものとのバランスを取りながら、働き方を考えていきたいですね。

──これからママになるクリエイター、復職や転職を考えるママクリエイターの方にメッセージをお願いします。

出産・育児は、よくも悪くもいろいろなきっかけになると思います。どうしても時間的な制約が出てくるので、「自分はなにがしたいのか」、「なんのために働くのか」、そういったことを見直すきっかけになります。編集やライティング、デザインなどのクリエイティブ職種は、時間の管理や働く場所の融通が利きやすい仕事だと思うので、あきらめずにまずはトライしてほしいなと思います。

※2021年8月に取材した内容を掲載しています。


【インタビュアー】しゅふクリ・ママクリ編集部
ママ訪問では、ママクリエイターにリアルな働き方やキャリア観についてインタビューしていきます。

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