これまでにない新しいものをつくっていけるから、仕事は面白い―ルミネエスト新宿 販売促進グループ リーダー 増田由美子さん【輝く!ママクリ】
1 経歴や仕事・家庭の状況は?
新宿、池袋、横浜、大宮など、JR東日本の首都圏にある主要駅に隣接する、ショッピングセンター「LUMINE」をはじめとする商業施設を手がける株式会社ルミネ。主に20代~40代の働く女性をターゲットとしたショッピングセンターのほか、ECサイトやライフスタイル事業などを展開しています。同社が掲げるコーポレートメッセージ「わたしらしくをあたらしく」には、「わたしらしさ」のアップデートを応援し、「わたしらしい生き方」へのサポートに対する思いが込められています。日々変化する社会において、とても前向きで、心強いメッセージですね。
JR新宿駅東口に位置するルミネエスト新宿で販売促進グループのリーダーとして働く増田さんに、まずは、ご自身のご経歴や育児休暇の取得状況などについて、お話を伺いました。
──ご経歴について、簡単に教えてください。
増田:2004年にルミネに入社して、今年で20年目になります。最初は、ルミネ立川に配属されました。その後、本社の営業部に異動となり、ショップサポートの仕事をした後、開業準備室でニュウマン新宿の開業準備に携わり、開業後はそのままニュウマン新宿で4年勤務しました。
その間に、産休・育休を取り、職場復帰をして、2年前にルミネエスト新宿に異動となり、現在は館の販売促進を担当しています。いろいろな業務がある中で、情報発信をする仕事をやってみたいという気持ちがあり、販売促進の仕事を希望しました。
とはいえこれまでも、例えば本社ではご出店いただいているショップの営業力を上げるためのサポート業務に携わり、ニュウマン新宿では開業準備ということで、例えば館内サイン表示やバックヤードを使いやすいものにするための調整・意見出しなど、多岐にわたる業務を行ってきました。
──お子さんは現在、何歳ですか。
増田:5歳です。できれば出産後は1年で職場に戻りたいと思っていて、わりと早い段階から、保育園の見学に行くなどしていました。
──育児休暇は、どれくらいの期間、取得しましたか。
増田:丸1年です。当時は、保育園に入園することがかなり難しいと言われていて、0歳児で入れるのが一番入りやすいという話がありました。それに、自分自身も1日中、子どもとずっと二人きりでしたので、非常に楽しいことも幸せなこともたくさんあったのですが、会社に戻りたいという気持ちも出てきて、もしかしたら、ここら辺が区切りかなと思えたのです。
──復帰の際の周囲の反応はいかがでしたか。
増田:近くに親族がおらず、完全に核家族の状態でしたので、誰かに相談しようとは考えませんでした。ただ、1年で復帰したという話を親族にすると、「早いね」「かわいそうね」ということを言う人も中にはいました。
会社からは、職場復帰前から、すでに育休を終えて時短勤務で働きながら活躍している社員の情報などを発信してもらえていたので、そういった情報で自分も復帰後のイメージを膨らませていました。当社の時短制度は期間・時間選択型で、私は保育園の送り迎えなどに支障がないように6時間勤務を選び、働いています。時短制度は、子どもが中学校を卒業するまで利用できて、その時々の状況に合わせて選択することが可能です。
2 仕事のやりがいや工夫、今後のキャリアについては?
続いて、販売促進のお仕事のやりがいや工夫、キャリアについてのお考えをうかがいました。ママとして、そして館の販売促進リーダーとして多忙な増田さんの「いらないものを省いたり、切り捨てたりすることが、前よりもできるようになっているのかも」というお言葉に、ドキッとしました。一番大切なことを見失わずに、冷静に優先順位が高いことを選べるってすごいことです。切り捨てたり、選択したりするには勇気が要ります。仕事に限らず、何かで達成感を得る時、その裏側には数々の勇気ある決断もあったのかもしれないと、改めて思いました。
──就職の際に、ルミネを選んだのはどういった理由でしたか。
増田:学生時代に、ルミネ新宿が大きなリニューアルを行い飲食フロアを新規で立ち上げたのですが、ちょうどその飲食店でアルバイトをしていました。ルミネ新宿がリニューアルをかけて変わっていく様子を目の当たりにして、すごく変革力のある会社だと思い、興味を持ったのがきっかけです。たくさんのショップをフロアごとに編集したり、ルミネ新宿のコンセプトに合ったショップを選んだりする仕事が面白そうだと思ったのです。
──現在担当している販売促進の仕事は、具体的にどんなお仕事ですか。
増田:キャンペーン企画や情報発信、館内装飾といった来館促進のための各種プロモーション業務に携わっています。例えば、Instagramのルミネエスト新宿の公式アカウントの運営や、館内に設置するモニターの配信、ポスターの制作・掲出などです。ルミネエスト新宿は、当社の商業施設の中でも、一番若い世代をターゲットとする施設になります。10代~20代のZ世代のお客さまのファーストルミネとして、「世界一、人を惹きつける館を創る」というビジョンの達成に向けて、販売促進の企画も行っています。
──仕事のやりがいや面白みは、どんなことですか。
増田:小さい案件にせよ、大きい案件にせよ、一つひとつ着実に終わらせていくことに達成感を感じています。どんな仕事にも締め切りがありますが、そこまでに終わらせることができたり、回答を出せたりすることが、自分では嬉しいのです。
また、これまでにない新しいものをつくっていけるのが、この仕事の面白いところです。そのために、それぞれの案件でつながった取引先や社内・社外の方々との関係性を築き、また何かでご一緒する機会が持てるようにと、丁寧に対応しています。キャンペーンは、若い世代のお客さまたちの興味・関心を集めるものとのタイアップの企画が多くなっています。ありがたいことに、外部の方からご提案をいただける機会も多く、お話をしてみてお客さまのターゲットに合っているようであれば、一緒にやりましょうというお話になることも多いのです。
──仕事をする上で、家庭との両立で大変なことはどんなことですか。
増田:今は、コロナ禍を経たこともあり、在宅勤務の導入・拡充や、フレキシブルな勤務形態の風土ができて、すごく困るような状況に陥るといったことが、以前よりも減りました。
例えば、子どもの体調が悪い時、コロナ禍以前であれば、自治体が一部負担をサポートしてくれる制度を利用して、小児科が運営する保育園に預けたこともありました。現在であれば、在宅勤務で子どもの様子を見ながら働くことができます。リアルな店舗を持っている以上は、出勤しないと成り立たない部分もありますが、在宅勤務でもいろいろな業務が進められるようになったことを実感しています。
──育児や家事の経験が、仕事に生きると感じたことはありますか。
増田:私のチームは7人ほどのチームで、私以外のメンバーは若くて、館のターゲットと同じZ世代も多いので、話を聞く中でどういったものがこれから流行りそうか、今は何が人気なのかといった情報を集めています。いろいろなキャンペーンのメインとなる担当は後輩がやり、私はそのチェッカーのような役割をしています。さまざまなキャンペーンやコンテンツの企画が同時進行しており、マルチタスクのような状態です。
その中で、以前であれば何かの理由で中断したりペースを乱されたりすると、すごく焦ってしまったり、状況を整理するのに時間がかかったりしていたのですが、今はある程度思い通りに行かないことが起きても、冷静に進めることができるようになったと思います。
育児では、何か予定を立てても中断されることがほとんどです。だから、今、優先順位が一番高いのは何かを、少しだけ落ち着いて考えられるようになりました。仕事もそうですし、子どもにもたくさん求めないところがあって、そこでいらないものを省いたり、切り捨てたりすることが、前よりもできるようになっているのかもしれません。
──今後のキャリアについて、どうお考えですか。
増田:ルミネエスト新宿やニュウマン新宿といった商業施設を経験し、その館のビジョンに合わせて、その都度、自分だったら何ができるのかを考えてやってきました。それが今は、子どもの成長を見ながら、自分ができることをそのポジションでやっているということで、強い昇進意欲があるというわけではありません。まずは、今すごく楽しく仕事をさせてもらっているので、そこで館のビジョン達成に向けて役に立てたらなと思っています。1つのことを極めたいというよりも、いろいろな角度で関わることで、館やプロジェクトがうまく発展できたらと思います。
3 日々の暮らしの中で大切にしていることは?
仕事に復帰したことで、自然と家事や育児を平等に分担するようになったという増田さん。お子さんと一緒に過ごす在宅勤務も、試行錯誤しながら、仕事に集中できる環境をつくってきたようです。ゴールやあるべき状態に向けて、何かできないかと考え行動する姿が、そこにありました。
──生活や家事の中で、大変だったことや工夫していることはありますか。
増田:私の場合は、近所に親戚などもいないため、何かあった時には自分と夫以外でサポートに入ってくれる人がいないというのが、大変なところです。最近のことでいえば、保育園が急遽休園したときが、一番苦労しましたね。
在宅勤務をするにしても、子どもがパソコンやモニターに興味を示してしまい、仕事にならないといったことがよくありました。周囲の人には、本当に申し訳ないなと思っていますし、そのあたりは苦戦しつつも、いろいろと工夫してきたかなと思います。
──ご家族での家事分担はいかがですか。
増田:夫の仕事はフレックスタイム制で、私は時短勤務ですので、家事も育児も半々ぐらいの分担でやっています。それぞれ得意なことがあって、私であれば買い物とか保育園の行事、行政の手続きや病院への通院などが多いです。夫は、洗濯や掃除、それに子どもを連れて外に遊びに行くことも好きなようで、よくやってくれます。一番面倒なのは夕飯の準備ですが、それも半々です。手間がかかるものはつくらないですし、あるものでやってくれます。
最初は、私が育児休暇をいただいていて、家のことを全部やっていたのですが、雑なもので(笑)。何か気に入らない点があったのかもしれません。それに、私自身、一日中子どもと一緒にいて、家事も全部やらなきゃ、となったことで、追い込まれる時もありました。それだからか、その1年を乗り越えたら、「洗濯物は自分が干すよ」「掃除はやるよ」と、夫の方から言い出して。うまく分かれていきました。今は、夫も私もそれぞれ仕事をしていますので、平等にやっています。頻繁ではありませんが、夕飯をつくる気力がない時には、外食することもあります。家事をやるのに絶対に無理はしません。
うちは、スケジュールを共有するためのツールやアプリなどは使っておらず、毎朝、保育園への送り迎えや料理の当番を決めています。「今日は送りね」とか「じゃあ、料理はやっておくよ」とか。突発的な事象があれば連絡を取り合いますが、基本的にはその日の朝、一日のスケジュールを組んでいます。
──家事・育児と仕事の共通点は何かありますか。
増田:育児と仕事の共通点として、以前できなかったことが、少しずつでもできるようになっているという点があるかもしれません。子どもと向き合う育児と同様に、仕事でも、「これ、できないかな」「こんなところと一緒にやれないかな」と思っていた相手とうまく話がつながって交渉できたり、そういうところもありますね。
──ありがとうございました。
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在宅勤務の時に、お子さんがパソコンに興味津々で近づいてきて、仕事にならないという経験をした増田さん。今は、増田さんがパソコンを使う隣で、お子さんはこの電子パッドに文字を書いたりして遊ばせているのだそう。GIGAスクール構想が始動して、小中学校では一人1台の端末配備が進められているので、その準備にもよさそうです。
【インタビュアー】シキノハナ