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転居、出産、転職。4年の専業主婦期間を経て、希望の業界でもう一度正社員へ【ママ訪問】

「ママ訪問」では、ママにリアルな働き方を語っていただきます。今回は、マスコミ・広告業界を中心に、ライフスタイルに合わせて育児をこなしながら、多様な仕事のキャリアを重ねてきたSさん(匿名)にお話を伺いました。これまでの求職活動の体験や、振り返って思うことを語っていただきす。

夫の転勤と妊娠が重なり退職

──Sさんのこれまでのご経歴を教えてください。学生時代からマスコミ業界を志望されていたのですか?

マスコミ志望で、学生時代もマスコミ系のゼミに入っていました。元々は記者志望で、新聞社の政治部でアルバイトをする機会にも恵まれたこともあり、それらの経験を活かして、当初は記者志望で受けていました。でも、さまざまなメディア企業を記者志望で受けてみたのですが、なかなか厳しくて。就職活動中にちょっと視点を変えて、営業希望でも受けてみたんです。その流れで、営業として採用されました。いつかチャンスがあれば、また記者を目指そうという気持ちもありましたが、営業もすごく好きで楽しかったですね。

──会社を辞められたきっかけは何だったのでしょうか?

結婚して間もなく、夫が地方に転勤になったんですが、同じタイミングで妊娠しました。そのような状況下で、私はこれからどうしたらいいか、いろいろ考えました。

悩んだ末、退社して夫の転勤に帯同することにしました。この時が、大きな転機だったと思います。いろんな選択肢があったと思っています。たとえば仕事を辞めず、産休・育休に入り、育休が明けた後に、夫は地方で、私は東京で働きながら育児もできるのだろうかと、その大変さを想像してみましたね。いろいろ考えて、散々悩みましたが、私は会社を辞める道を選びました。知らない土地で生活することで、何か得られるものがあるかもしれないという期待もあり、夫についていくことにしました。

──退社後、転勤先ではどのように過ごされたんですか?

妊娠中だったので、引っ越してすぐに仕事を始めるわけにはいきませんでした。なので、まず1人目を産み、なるべく早く仕事復帰しようと考えていたのですが、やはり無職の状態で保育園を探すのは、どのエリアでも当時大変で……。結局、2人目を出産した後、上の子を預かり保育が充実している「こども園」へ、下の子を企業主導型保育園へ入園させ、そこから急いで仕事を探しました。その結果、丸4年の専業主婦を経て、就職することができました。就職活動は大変でしたが、やってみたい仕事が見つかったんです。

──仕事内容は、どのようなものでしたか?

元々やっていた仕事と親和性がある業界で、勤務条件なども無理がなく、いい形で再就職できました。地元のフリーペーパーをつくっている会社で、ライターとして勤めました。パートタイムで10時から16時の勤務。外に取材に行ったり、広告主さんのところに出向きお話を伺ったりしていました。

コロナ禍の中、再び転居・転職へ

──その後、ご主人の転勤でまた引っ越しされたと伺いました。

はい。夫の転勤の都合で、1年たったところで辞めざるを得ませんでした。それが、コロナ禍のはしりの2020年4月頃です。すぐに働きたかったのですが、保育園や幼稚園が休園になってしまい子どもの預け先が確保しにくく、内定をいただいていた企業で働くことも難しくなって、仕事を探すのは結構大変でした。

──その時は、どのようなお仕事をされたんですか?

これまでとまったく違う仕事でした。社労士の事務所で10時から16時までパートタイム勤務し、企業の産休・育休、入退社時の事務手続きなどを代行する業務をしていました。

これまでの経験が活かせないこの仕事を選んだのには、理由があったんです。自分が仕事を一度辞めた時、もろもろの手続きのことや制度のことを、必要なことなのにまったく知識がなかったんですね。それこそ、産休・育休も権利としてあったのに、取らないままサッと辞めてしまった。正直なところ、これでよかったのだろうかと、少し後悔していました。なので、知識として、女性が働き続けることに関する制度を、単によく知らないことで、損する人がいなくなったらいいなという思いがあったんです。そのためには、まず自分がちゃんと知っておかないといけないなという意識がありました。社労士事務所では、自分の全然知らなかった世界を知ることができ、大いに勉強になりましたね。

そして、この社労事務所での仕事を通して、世の中の制度をうまく使えば、キャリアに活かしていくことができるということを、あらためて知りました。ちゃんと利用すべきだと、強く思うようになりました。若い頃は、社会が支えてくれる制度に、あまり意識が及ばなくて、どうしても仕事一筋で懸命に頑張ってしまいがちでした。そういう女性は、少なくないと思うんです。そして、よく知らないばっかりに、そういう制度を使わないのは、もったいない。仕事を一生懸命やりたいと考えている20代くらいの若い人にこそ、世の中にはいろいろな支援制度があり、それをキャリアに活せることを知ってほしいと思います。

マスコミ業界で再び働き始める

──その後、関東に戻ってきたと伺いました。

ええ。子どもたちも大きくなってきて、今後のビジョンを家族で話し合ったんです。子どもの生活環境や教育環境も考え、関東エリアで転職しようということになり、夫と共にこちらに戻って仕事を探しました。また、関東に本拠地を変えることで、私もキャリアアップできるんじゃないかという思いもありました。

──就職活動はいかがでしたか?

就職活動自体は、完全にリモートだったので、地方にいても問題なくできました。ただ、今回の転職活動でマスメディアンさんにご相談する以外にも転職サイトに登録してさまざまな企業に応募していましたが、かなり苦戦していました。自信喪失している中で、マスメディアンの担当の方から「Sさんなら大丈夫です」と断言していただいたことが、振り返るとかなり大きな支えになったなと思います。

結局、その担当の方からご紹介いただいた企業で就職が決まりました。元々やっていた仕事に近いジャンルで、かつ、興味がある業界・職種だったということに加え、この企業が『働きやすさ』も重視して会社のカルチャーをつくっていると伺ったことも、入社を決めるきっかけのひとつでした。実は、勤務時間について、求人票に記載されていたものより1時間短縮させてもらえないか相談したんですよ。快諾していただけて、本当にありがたかったです。そういうところも決め手として大きかったです。

──業務内容や就業時間を教えてください。

現在、マスメディアンからの派遣社員という形で、広告会社で働いています。セールスチームに所属し、内勤で営業メンバーのサポートをしています。広告枠の仕入れや売買、送稿業務など、過去の経験が活かせる分野だと思います。

勤務時間は、9時45分から17時半です。これもご相談して、少しでも勤務時間が短くなるように工夫しました。7時間勤務であれば、休憩時間が45分に短くでき、それは私にとって好都合でした。元々は、8時間勤務の募集で休憩時間を1時間取らなければならなかったのですが、できるだけ会社にいる時間を短くするために、マスメディアンさんの担当の方がアイデアをくださったんですよ。会社も、快くこの点を理解してくださいました。在宅勤務も取り入れ、業務内容を調整しながら、いいバランスで働かせていただいています。

──仕事と家庭を両立させるにあたり、意識していることはありますか?

家族、主に夫の理解を得ることですね。仕事面で、今後本格的に取り組みたいと思っているということは、夫にもしっかり話をしました。子育てしながら私が正社員になるにあたって、夫婦間での生活のルールを決めるだけでなく、「自分はこういう働き方をしたくて、将来的にこういうことをしたい。そのために、今はこれを頑張りたい」という意識の共有は、結構大事なことだと感じています。夫は夫で、私は私で、仕事でこうしていきたいというプランがあるので、そこはきちんと共有し、コミュニケーションを取っていくことを大事にしています。

仕事を辞めたから見えた景色

──キャリアの転機をお聞かせください。

はい。バサッと1回仕事を辞めてしまった時が、大きな転機でしたね。出産や結婚で仕事を辞める女性は、昔と比べると大分減っていると思うんです。でも、私は辞めてしまった。辞めたあとの専業主婦だった4年間があったからこそ、今モチベーションを高く保てているとも感じているんです。育休を、3カ月や半年しか取らずに職場復帰される方も増えていると思うんですが、そういう方の中には、子どもといられる時間が少なくて、これでいいんだろうかと悩んでいるケースもあると思うんですよね。その悩みもすごくわかる。私は逆に、スパッと辞めてしまったからこその悩みがあった。4年間、毎日子どもたちとだけ過ごしてきた日々は、当然貴重ではありましたが、コロナ禍もあり、いろいろとつらいこともたくさんありました。その子育てに専念していた期間があったからこそ、先々のことまでじっくり考えるようになり、子どももいつまでも子どもではないので、子育てをしながら自分の将来のことも考えていかなければいけないという意識が持てたのだと思います。

──独身時代、ずっと働きたいという思いはありましたか?

その点は、あまり深く考えていなかったかもしれません。キャリアプランをしっかり考えるとか、子育てしながら働くとか、自分の中で具体的に描けていなかったように思います。今にして思えば、もっと考えるべきだったと思います。でも、逆に考えすぎてしまっていたら、夫の転勤先にはついていかなかったかもしれません。私は、夫の転勤先に引っ越して、新しいコミュニティもたくさんできましたし、そこで出会った方たちとも今も仲良くしています。想像していなかった景色をたくさん見ることができたんです。それは、すごくいい経験でしたし、全然後悔していません。結果オーライかなと思います。

もうダメだって、自分で自分を決めつけないで

──いよいよ5月から、今お勤めの会社で正社員になると伺いました。

私、こんなふうに正社員で仕事できる日が、また来るなんて思っていなかったんですよ。専業主婦をしていた時は、特にこんな機会があるとは全然思ってもみなくて。そして、関東に戻ってくる時も、この業界に戻ってこようとはあまり思っていませんでした。もう7年ぐらいマスコミ業界から離れてしまっていたので、今さら自分なんか使い物にならないんじゃないかと思っていたんです。ただ、やってみたいっていう気持ちだけはありました。そして、メディア時代に出会った多くの方々とのコミュニケーションはずっと続けていて、それは将来のためとかじゃなく、単純に仲良くしてくださる方たちなのですが、その方たちから当たり前のように、「また仕事できるかもね、帰ってきたら?」みたいなことを結構言っていただく機会があって。そういうふうに声をかけていただけたことで、「私もしかして、戻ったら何かできることがあるのかな?」と、ちょっと意識が変わっていったんです。

一度専業主婦になろうが、業界から少し離れようが、気持ち次第で何とかなることもあるんだなって思いましたね。もうダメだって、自分で自分を決めつけないでいいんだなと。また、これまでの人との関係を大事にするとか、やりたいって気持ちを持ち続けるということも、とても大事なことなんだと思います。そして、世の中には、その思いを汲んでくれる方もいるんだなと思いました。

──本日はありがとうございました! これからも「しゅふクリ・ママクリ」では、ワーママを応援していきます。

※2023年4月に取材した内容を掲載しています。


【インタビュアー】しゅふクリ・ママクリ編集部
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