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ママであり、デザイナーであり、「私」でいるために(前編)【ママ訪問】

「ママ訪問」では、ママクリエイターにリアルな働き方を語っていただきます。今回はグラフィックデザイナーとして活躍されているTさん(匿名)にオンラインでお話を伺いました。出産、復職、そして転職。環境が変わっても、「デザインが好き」という変わらぬ思いでお仕事をされています。ママクリエイターとしてのやりくりや、コロナ禍での状況、今後の展望について、前編・後編にわたってお届けします。

「好き」が、キャリアをつくってきた

──これまでのご経歴を教えてください。

美術系短期大学を卒業後、制作会社2社を経て、1997年から外資系広告会社に在籍しておりました。2013年に出産し、1年半の産休・育休の後に仕事復帰しています。2019年に外資系広告会社を離れた後、現在はマスメディアンの派遣社員として、コスメメーカーで働いています。デザイナーが向いているかどうかは、20年以上やっていてもわからないのですが、「好き」という気持ちはずっとあります。

──出産、育休、復職のときのお話をお聞かせください。

2013年10月末に出産しました。このときはまだ外資系広告会社にいたころです。翌年4月からすぐに仕事復帰するか、実は悩みました。生まれたばかりの赤ちゃんは成長速度が早く、日々大きくなっていくんですよね。初めての子どもでしたし、この貴重な1年間は一緒に過ごしたい。成長を見守りたいという思いがありました。

このような気持ちを抱えつつ、保育園を探す活動、いわゆる「保活」を始めました。保育園は区役所に通っていろいろ探しましたが、なかなか見つかりません。職業柄、「デザインなら家でもできるのでは?」と言われたりもしました。そのため、タイミングが来るまで待つしかないなと思うようになり、ゆっくり探した結果、保活を始めて1年後、出産をして1年半後に復帰することができました。 保活では大変な思いをしましたが、今思えば、子どもと過ごす貴重な時間ができて、よかったと思っています。

ママでありながら、「私の生き方」をつねに確認

──会社のサポートや復帰後の労働環境はいかがでしたか?

外資系広告会社では、結婚している女性は沢山いましたが、クリエイティブ職でお子さんがいるのはコピーライターの方ひとりだけでした。私が初のママデザイナーです。 復帰の準備として大きな一歩となったのは、育休中に上司と今後担当するクライアントについて話し合えたことです。出産前は業務量の多いクライアントをいくつか担当していたこともあり、撮影が続いたり、昼夜関係なく仕事をしたりしていました。

でも、そのような働き方は育児をしながらでは難しいと思っていました。どのようなクライアントで、どういった業務だったらバランスよく育児と仕事を両立できるかを第一に考えました。このような事情で労働時間の制約もありましたので、所属だけ別の会社に在籍し、外資系広告会社には出向という形態で勤務していました。 復職後の働き方は、週5日の時短勤務でした。ただ、広告会社のお仕事は、どうしても夕方に動くことも多いものです。夕方以降のやり取りや深夜の制作もありましたが、そこは自分で選んだ道でしたので、自宅で対応しておりました。

──復職して大変だったことはありますか?

大変だと感じたことはないですね(笑)。ただ、幼い子どもは急に熱を出したりすることがありますので、プレゼン前などは、熱が出ることも想定して早く仕上げたり、制作や睡眠時間をキューッと詰めたりですとか(笑)、やりくりしていました。

あとは、主人と協力し合っていました。いわゆるイクメンではありませんが、私の仕事を理解してくれています。つねに主人とはスケジュールの確認や調整をしていました。撮影での外出も多かったですし、深夜までかかることもありましたので、主人に車で1時間半ほどの実家に連れて行き、夕食まで終えて帰宅してもらうこともありました。撮影現場の仕事も好きで、できる限り休みたくなかったので、周りの協力あってこそと感謝しています。

──ターニングポイントはありましたか?

デザイナーとしては、外資系広告会社に在籍していたときに出会ったクリエイティブディレクターの存在が大きいです。その方とは、ビューティー系の仕事をさせていただいたのですが、発見だったり、物の考え方だったり、デザイナーとしていろんなことを学ばせていただき、とても感謝しています。

そして、「コスメ系の仕事が好き」「がんばろう」と思えたんです。これまでさまざまなジャンルのクライアントの広告を制作してきましたが、初めて自らやりたいと思えた瞬間でした。「クリエイティブの仕事は楽しい」という大切なことも教えてもらいました。

──ママクリエイターとしても転機はありましたか?

時期的なものだったのかもしれませんが、コスメメーカーへ転職したことです。子どもが小学校に上がるころ、小学校は保育園よりも帰宅時間が早くなるため、働く環境を変えたいと思うようになりました。そして、転職するなら新しい領域に挑戦したい。以前から興味のあったメーカーで勤めたいと思っていました。ただ、転職するぞと意気込んで、転職活動をしていたわけではありません。たまたまのご縁とタイミングで今の会社で勤務させていただいています。

※2021年5月に取材した内容を掲載しています。

【この記事は前後編です:後編はこちら】


【インタビュアー】しゅふクリ・ママクリ編集部
ママ訪問では、ママクリエイターにリアルな働き方やキャリア観についてインタビューしていきます。

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