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育児をしながら、じっくり探したインハウスデザイナーへの道(前編)【ママ訪問】

「ママ訪問」では、ママクリエイターにリアルな働き方を語っていただきます。今回はインハウスデザイナーとして活躍するママクリエイターのAさん(匿名)にお話を伺います。ママになってもご自分のライフスタイルに合った働き方を探すため、Aさんが歩いてきた道のりとは? 前編・後編にわたってお届けします。

好きなことを仕事に選んだ

──これまでのご経歴を教えてください。

短大を卒業後、美術専門学校に通い、その後、制作会社2社で勤務しました。2社目を退職したタイミングで結婚し、妊娠・出産。育児をしながらフリーランスのお仕事をしていましたが、現在はマスメディアンさんから派遣されて、事業会社でインハウスデザイナーとして働いています。

──デザイナーを目指すきっかけはなんだったのでしょうか?

短大は文学部でしたが、小さなころから絵が好きだったので、就職を考えるころにはやはりデザインや広告方面を目指したい、特に制作に携わりたいと強く思うようになりました。そのためには学校で学んだ方が良いと考え、グラフィックデザイン科のある美術専門学校へと進学しました。就職より学びを選んだので、両親の説得にはなかなか苦労しました。

ちょうどデザイン作業がデジタルへ移行する過渡期だったこともあり、美術の基礎と並行してMacに触れながら学びました。先生は現役デザイナーの方ばかりで、現場は長時間労働で厳しい世界、徹夜もよくある、という実態も聞かされていました。私も挫折しそうになって就職活動に迷ったこともありました。

それでもこの道を歩もうと思ったきっかけは、在学中に研修として参加した、都内のデザイン会社での就労体験でした。長時間で、かなりリアルな現場体験だったのですが、このときやり切ったという自信が、デザイナーになろう!という気持ちにつながりました。

学校卒業後は地元に貢献したいと思い、自宅から通勤しやすい場所にあるデザイン会社に就職しました。ここでは1年半ほど働きました。

──デザイナーとしてキャリアをスタートされたのですね。

最初の会社は自分で探して採用をお願いしました。都内の学校では地元の就職情報が手に入らなかったこともあったので。ほぼ直談判ですね。ここは公的機関のお仕事を受けているデザイン会社。Webへの過渡期ということもあり、Web制作も含めて、ありとあらゆることに全員で取り組むスタイルでした。

その後、転職した都内のデザイン会社でも、本当に幅広い業務を経験しました。広告会社からの案件だけでなく、広告主との直接案件もあったり、出版社との取引では広告だけでなく書籍デザインやカタログ、冊子を手掛けたりしていました。自分たちで仕事をつくる必要もあったので、コンペの参加資格取得から、営業活動、交渉、企画出し、アートディレクション、コピーライティング……。プロデューサーのような仕事まで、すべてこなしていました。依頼が来たお仕事は基本断らない、「Yes or Yes」しかない(笑)。

入社3年目のとき、上司が退職したこともあり、私がアートディレクターになりました。これまで通りの仕事に加え、スケジュール、予算管理はもちろん、部下のマネジメントをする立場になり、かなり忙しい日々でした。

育児をしながら、妥協せず、じっくり探した就職活動

──出産から復職までのことを教えてください。

2社目を辞める決意をしたタイミングで結婚が決まりました。当時、すでにマスメディアンさんには転職サポートのお願いをしており、一貫して事業会社で働く「インハウスデザイナー」を希望していました。しかし、ちょうど直後に妊娠し、2013年に出産しました。そんな経緯もあり転職のタイミングを逃して、育児に突入しましたね。

産後、復帰を強く願っていたわけでもなかったのですが、出産4カ月後にフリーランスの友人からヘルプの依頼が入りました。これがフリーで仕事をしていくきっかけでもあったと思います。そこから元上司、仕事仲間など、以前お付き合いのあった方々から声がかかるようになりました。依頼は不定期でしたから、収入ゼロなんて月もありました(笑)。

フリーランス歴は、現在の会社に派遣就業が決まる直前までの期間になります。

──フリーランスを続けながら就職活動もされていたのでしょうか。

当時も、マスメディアンさんからは定期的に求人情報を受け取っていました。「インハウスデザイナー」の希望はそのままです。

あるとき、求人メールを見ていたら、近所の求人があり、近所なら移動時間が少なくて、子どもの送迎に間に合うように働けるかもしれないと希望を抱いたことが、マスメディアンさんに再度ご連絡をするきっかけになりました。結果としては勤務条件が折り合わなかったのですが、マスメディアンの担当さんから「いまの希望条件に合わせて求人を探すこともできるので、再登録してはどうか」とアドバイスをいただきました。

主婦になって育児もしているし、「しゅふクリ・ママクリ(柔軟な働き方)」として改めて登録。履歴書とポートフォリオも新しいものを提出し、希望の勤務条件も更新しました。週2、3日の時短勤務でお願いしたのですが、お話しした担当さんからは「ご希望の条件の求人はそうそうありません」と厳しいことを言われました。難しいことは経験上、十分わかっていたのですが、やはりここは譲れないと思い、そのままの条件で求職活動を続行することにしました。

求人を探していた期間は結構、長くかかりましたね。条件をもう少し柔軟にすべきかと悩んだり、なんとか私の希望に合っているかなと思う求人が出てきたり……葛藤が続きました。とにかく条件は変えずこのままじっくり探そうと決めました。そして1年が経ったころ、現在働いている会社の求人を見つけ、ぜひ受けてみたいと連絡を入れました。求人票の勤務時間が希望条件よりも1時間長かったので、子どもの幼稚園の送迎に合わせて出退勤できるか気がかりでしたが、企業が私の希望である10時から16時の勤務に調整してくれることになり、晴れて就業が決まりました。

結果としては求職期間には1年を費やしました。時間はかかりましたが、自分のライフスタイルに合った勤務先が見つかったので、諦めずに探して本当に良かったと感じています。

私は、「インハウスデザイナー」として自社のためにじっくりデザインに取り組んで、いろいろな能力のある方たちとチームを組んで働いてみたい、という憧れがありました。いま、その夢がかない、会社に貢献できることがとてもうれしいです。こんな歳になっても夢はかなうんだ、と感激しています!

【この記事は前後編です:後編はこちら】

※2021年5月に取材した内容を掲載しています。


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