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夫のサポートを得て、新しいこともやれると思えた―カンロ ブランドリーダー 菊地舞子さん【輝く!ママクリ】


仕事に、家事に、育児に…、忙しいけど面白い! 今、マーケティングやコミュニケーション、クリエイティブの世界で活躍しているワーキングマザーを取材します。第19回は、カンロで「カンロ飴」と「金のミルク」のブランドリーダーをしている菊地舞子さん。カンロは1912年創業のキャンディメーカーで、キャンディを中心にグミやマシュマロなどでも知られています。「Sweeten the Future~心がひとつぶ、大きくなる。~」をパーパスに掲げ、食の安全性向上への取り組みや商品パッケージのわかりやすさなどにも定評がある会社です。そこでブランドリーダーの菊地さんに、仕事のやりがいや働き方の工夫、家庭での過ごし方について教えてもらいました。まずは前編をご紹介します。

カンロ マーケティング本部 カンロ飴・金のミルクブランドリーダー 菊地舞子さん

食への情熱を商品に込める

――ご経歴について、簡単に教えてください。

菊地:2006年に新卒でカンロに入社しました。その時は職種別採用で企画職として採用となり、入社後は一貫して、飴・グミ・素材菓子(梅や海藻などの素材を活かしたおいしさが楽しめるお菓子のこと)といったカテゴリーの商品企画を担当してきました。

商品企画の仕事はまず、どんなターゲットに、いつ、どんな商品を出すかを決めます。味づくりは社内の別部署で進めていくのですが、企画はパッケージのデザインや表示関係のチェック、包装形態やそれに関わる設備・原価の確認などをしていきます。2022年に商品企画の管理職となり、今年2024年からは「カンロ飴」と「金のミルク」という飴製品のブランドリーダーをしています。

――現在は、どんなお仕事をしていますか。

菊地:ブランドリーダーの仕事は、いわゆるブランドマネージャーといわれる仕事と基本的には同じかと思います。

これまでの仕事と重なる部分もありますが、各ブランドの戦略立案、商品ラインナップの検討や一品ごとの商品パッケージなどのデザインや商品仕様のディレクション、さらにはプロモーションやコミュニケーションの施策実施までを担当しています。そして、ブランドの予算や収益管理も含めて、より上流から下流まですべてに責任を持つポジションです。加えて、チームメンバー4人の進捗管理なども行っています。

――カンロに入社した理由を教えてください。

菊地:食べることが好きだったので、学生時代から食品を扱う会社に入りたいと漠然と思っていました。大学では農学系の学部で学び、いざ就職活動を始める時には、生活必需品的な食品よりも、「あったら暮らしが少し豊かになるような、気持ちがプラスに働く商材の会社で働きたいな」と思って、菓子メーカーを中心に就職活動をしました。

スーパーのお菓子売り場に行って、いいなと思ったお菓子の袋の裏側を見て会社名を探し、そこに応募する、といったようなこともやっていて。その中の1つが、このカンロでした。当時は職種別採用だったので、商品企画が入社してすぐにできるという点も魅力でした。

また、選考中の応対が丁寧で、人を大切にしてくれる会社だなと感じ、その点にも惹かれました。

夫婦ともに在宅勤務になり、過酷な状況が改善

――ご出産はいつごろですか。

菊地:2015年と2018年です。第1子の時の育休は1年間です。第2子の時は待機児童になってしまったため、育休は2年間いただきました。きょうだい加点(※)もあったのですが、保育園の状況により1度目の申し込みでは待機児童となってしまったんです。その後、なんとか1歳児枠で滑り込めたといった感じでした。

――最初の出産後に職場復帰した際は、どんな心境でしたか。

菊地:保育園が激戦区で、入園できるかどうかずっと不安だったので、ホッとして復帰したような気がします。会社を辞めるという選択肢は、基本的には頭の中にありませんでした。

それでも第1子の時は、初めてのことで何もわからないまま復帰して、毎日がてんやわんや。時短勤務はしていましたが、ちょうど夫も多忙な時期で、帰宅してから子どもが眠るまではワンオペ状態。出産前から予想はしていましたが、実際にやってみるとすごくつらくて。子どもの相手ばかりで大人と話せる機会も少なく、結構フラストレーションがたまっていました。

それに時短勤務だったので、やりたいところまで仕事を終わらせてから帰るということがかなわない状態が、ほぼ毎日続きました。「やりきった感」がないまま過ごしていたので、その結果、仕事面でもフラストレーションがたまり、当時は本当につらかったです。

ただ同じ部署内に、私より先に出産された方が2人いて。周囲は「育休明けの社員はイレギュラーな勤務になってしまったり、家庭との両立が大変」という状況をわかってくれていたので、職場ではすぐに受け入れていただけたかなと思います。

――2回目の出産で、職場復帰の際の心境は変化しましたか。

菊地:実は2度目の育休中、第1子の産休のあとに職場復帰した時のことを思い出して、「子どもが1人の時でさえあんなにつらかったのに、2人も育てながら仕事をするのは、ちょっと無理かもしれない…」と思っていました。それに組織変更、社内システムやパソコンが変わった時期とも重なって。復帰前は、同じ部署で同じ仕事をするとはいえ、職場環境の変化にも不安を感じていました。

ただ、2020年4月はちょうどコロナ禍。いざ復帰というタイミングで緊急事態宣言などで外出制限がかかり、自宅に送ってもらった新しいパソコンで仕事を再開することになりました。

ここで働き方に在宅勤務が加わったのはかなり助かりました。振り返ればライフスタイルにおいてもターニングポイントだったと思います。序盤の数カ月は一度も出社することなく在宅勤務で、そこから徐々に出社日が増えていく形になり、少しずつ新しい環境に慣れていけたのも良かったです。

また、夫もコロナ禍により在宅勤務が主体になったため、家事や育児に参加できる機会が飛躍的に増えました。さらに在宅勤務だと、通勤時間分を業務時間に充てられるため、時短にする必要がなくなりフルタイムで仕事に取り組むことができるようになりました。そのため、第1子の時にあったようなフラストレーションがほとんどなくなりました。

――復帰の際の会社のサポートで良かったと感じたのは、どんなことですか。

菊地:やはり在宅勤務は、非常に助かっています。現在、上の子が小学校、下の子が保育園に通っているのですが、保護者会、個人面談、授業参観など、平日にそれぞれの行事があります。上の子が通っている学童でも同じように行事があるので、平日昼間に出向かなければならない用件も頻繁に発生します。

そういった行事にも、フレックスタイム制や半休制度を駆使して、参加できています。また、勤務時間の中抜けや、一日の中で在宅と出社を切り替えることができるのもありがたいです。

新たな業務が喜びに

――管理職になるために、会社の昇格試験を受けたときのことを教えてください。

菊地:昇格試験は年に1回受験が可能で、当時は学力試験と小論文、面接の3つの課題がありました。試験は5月半ば頃だったので、その年のゴールデンウィークはずっと試験の対策に追われ、精神的にもプレッシャーを感じながら過ごしていましたね。

――試験を受けようと思ったのは、どうしてですか。

菊地:新しいことに挑戦してみるのもよいかも…と思えたからです。

第2子の際の職場復帰後、夫婦ともに在宅勤務を活用しながら家庭と仕事の時間をやりくりしています。保育園からの急な呼び出しがあっても、夫が在宅勤務中の日は迎えに行ってくれるので、私も少し余裕ができました。この環境であれば、新しい業務内容にも取り組めるかもしれないと前向きになれて、ちょうど当時の上司に勧められて昇格試験を受けることにしました。

――今年から主力製品のブランドリーダーですが、いかがですか。

菊地:言われた時は、すごくびっくりしました。とはいえ、私自身のキャリアにとってはポジティブな出来事だと感じました。

社内には、いろいろな部署を経験している人と、ずっと同じ部署にいる人とに二分されていて、私自身は後者でした。商品企画の仕事をしてきて、管理職にもなったけれど、ずっと同じ仕事を続けた先の未来像がうまく思い描けていなくて…。この先はどうなるんだろうと、少し不安に思っていました。

そんな時に、ブランドリーダーという、今までとは少し違う仕事ができることになったんです。これまでより職域が広がったり、新しい業務や会議が増えたりして毎日忙しいけれど、楽しみながら取り組むことができています。

【この記事は前後編です:後編はこちら「『この人でもやれるんだ』という管理職のロールモデルになりたい」】

※きょうだい加点:兄弟・姉妹が利用している認可保育園と同じ園への入園を希望する場合、保育指数が加点される制度。


【執筆者プロフィール】シキノハナ

編集者・ライター 兼 華道家。ビジネス雑誌の編集長を経て、複合サービス企業へ転職。約16年間にわたり、広報を軸とした企画業務に携わる。現在はシキノハナを主宰。仕事に、家事に、育児に…と、忙しい女性を心からリスペクトし応援する。
<ホームページ> https://shikinohana.com/


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