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「この人でもやれるんだ」という管理職のロールモデルになりたい―カンロ ブランドリーダー 菊地舞子さん【輝く!ママクリ】


仕事に、家事に、育児に…、忙しいけど面白い! 今、マーケティングやコミュニケーション、クリエイティブの世界で活躍しているワーキングマザーを取材します。第19回は、カンロで「カンロ飴」と「金のミルク」のブランドリーダーをしている菊地舞子さん。カンロは1912年創業のキャンディメーカーで、キャンディを中心にグミやマシュマロなどでも知られています。「Sweeten the Future~心がひとつぶ、大きくなる。~」をパーパスに掲げ、食の安全性向上への取り組みや商品パッケージのわかりやすさなどにも定評がある会社です。そこでブランドリーダーの菊地さんに、仕事のやりがいや働き方の工夫、家庭での過ごし方について教えてもらいました。まずは前編をご紹介します。

カンロ マーケティング本部 カンロ飴・金のミルクブランドリーダー 菊地舞子さん

【この記事は前後編です:前編はこちら「夫のサポートを得て、新しいこともやれると思えた」】

職場と家庭の両立を目指して

――普段、ご家庭での家事分担は、どのようにしていますか。

菊地:きっちりと役割を分けているわけではありません。夫は1人暮らしの経験があって家事全般ができるので、現在のライフスタイルに落ち着いてからは比較的スムーズに分担できていると思います。上の子は小学校、下の子は保育園へ通っていますが、家事系はほぼ夫メインで、子どもの世話や学校・保育園関係の用件は私メインでやっている感じです。送り迎えも、たとえば夫が送りをしたら、私がお迎えをするというように分担していますが、お互い外出や会議などが遅くまであるときは、気軽に送り迎えを交代しています。

――仕事と家庭を両立する上で、予想外に大変だったことはありましたか。

菊地: 子どもが保育園に入ったばかりの時は、何度も呼び出されました。保育園へ連れて行き、その後会社に着いた瞬間に園から「熱が出た」と電話がかかってきて、「呼ばれちゃったので帰ります」と周囲に告げて何もせずに帰るなんてこともありました。ただ、職場にはママ社員が既に複数いたので、そういうものだって受け止めてもらっていたのかなと思います。

今、私はフルタイムで働いてはいますが、それでも勤務時間には制約があります。やらなきゃいけないタスクはたくさんありますが、柔軟に残業ができるわけでもありません。資料のチェック作業ひとつをとっても、さまざまな種類と量があるので、私が確認しやすい方法を事前にメンバーに伝えて、効率的なやり方に合わせてもらうといった工夫もしています。

――部下とのコミュニケーションは、どのようにしていますか。

菊地:夕方の時間帯に急な確認依頼や相談を受けても、なかなかすぐには返せないということは伝えています。代わりに、リモートでの打ち合わせやチャットのやりとりを頻繁に行うなどして、進行管理は小まめにするようにしています。

また、チームメンバー内で在宅勤務日と出社日のタイミングがバラバラなので、週1回は出社のタイミングをそろえ、全員対面でのミーティングを行うようにしました。例えば、商品パッケージの色や表示する文字は、現物で確認する必要がありますし、業務上どうしても対面でのやりとりが必要な場面もあります。チームメンバーもお互いの出社日が事前にわかっていれば、その前後の時間を押さえて対面でやりとりできるといった目途も立ちやすく、進行の上でも安心感があってよいかなと思っています。

――育児や家事の経験が仕事に活きたと思うことは、何かありますか。

菊地:育児は、本当に自分の思い通りにならないことばかりです。それもあって、仕事に臨機応変に対応するマインドが強くなったというか、計画外のことへの耐性がついたと思えます。たとえ当初の計画通りに進まなくても、その中でどうするか、今ある問題を解決するにはどうしたら良いかを、落ち着いて考えられるようになった気がします。

――お仕事のやりがいについて、教えてください。

菊地:入社する前から商品をつくる仕事がやりたくて、それができているという点で、すごくやりがいを感じています。携わった商品が店頭に並んでいたり、SNSなどで商品やブランドへのコメントをいただいたりすると達成感もあります。ゼロからつくり始めて実物ができるという工程には毎回面白さを感じますし、改めてこの仕事が好きなのだと感じています。

管理職のイメージを変えたい

――普段の生活の中で大切にしているのは、どんなことですか。

菊地:忙しくて気持ちがいっぱいいっぱいのときは、子どもと接する際も態度がトゲトゲしくなってしまいます。だから心に余裕を持っていたいと、常に思っています。

やらなければならないタスクはたくさんありますが、「できなくてもしょうがない」というマインドを持つことも大事です。例えば、食事をつくる余裕がなければ外食もしますし、宅配を利用するなどいろいろな手段を使って、あまり自分自身を追い詰めないようにしています。

――便利だと思うサービスには、どんなものがありましたか。

菊地:私も夫もスケジュールが毎日固定されているわけではなく、出社の曜日もきっちりとは決まっていません。毎日異なるスケジュールで動くため、予定が共有できるスケジューラーは重宝しています。毎日、会社のスケジューラーと、夫と共有しているプライベートのスケジューラーの2つとにらめっこして、今日は自分が何をするべき日なのか、どんな動きをするのかを確認しています。

――キャリアについてのお考えを教えてください。

菊地:仕事はずっと続けていきたいと思っています。

以前は、仕事をしている時の気分の波というか、仕事がうまく進んでいるか否かで感情の起伏があるのが気になっていました。きっと休んだらそれらがなくなって、ずっと平和なんじゃないかと思っていたのですが、育休中もそれなりに何かが起こって。仕事がなくても、メンタルの浮き沈みはあるのだなと気が付きました。それであれば、仕事をしていた方が生産性もあるし、そっちの方がいいかなと思えるようになりました。

それに、私はそんなに家事が得意ではないので、もし仕事をしていなかったらそちらを極めなければならない…。そう思うと、まだ仕事の方が向いているかなとも思えます(笑)。

会社の昇格試験を受けたのは2年半ほど前ですが、子育てをしながら管理職になっている女性は、当時はほとんどいませんでした。私のいる部署では8割くらいが女性社員であるにもかかわらず、です。社内の管理職の中にはハードワーカーの方もいます。でも、それが管理職全般のイメージになってしまうと、一歩引いてしまう人もいるのではないかと思います。だから、私自身がロールモデルのひとりとなり、「こういうやり方でもできるんだ」「この人でもできるんだから、私でも管理職ができる」と思ってもらえたら嬉しいです。

――管理職になりたくない女性が多いという報道を、時々耳にします。理由については、個々のご事情があるのだろうと思います。けれど、それらに縛られずに、軽やかに自分のやり方で仕事と向き合う菊地さんの姿は、同じ女性の目で見てもかっこいいなと思いました。ありがとうございました。


【執筆者プロフィール】シキノハナ

編集者・ライター 兼 華道家。ビジネス雑誌の編集長を経て、複合サービス企業へ転職。約16年間にわたり、広報を軸とした企画業務に携わる。現在はシキノハナを主宰。仕事に、家事に、育児に…と、忙しい女性を心からリスペクトし応援する。
<ホームページ> https://shikinohana.com/

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