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上司や周囲のサポートで希望の仕事を続けられた―電通アドギア ストラテジックプランナー/プロデューサー 石井美香さん【輝く!ママクリ】


仕事に、家事に、育児に…、忙しいけど面白い! 今、マーケティングやコミュニケーション、クリエイティブの世界で活躍しているワーキングマザーを取材します。第17回は、電通アドギアのストラテジックプランナー・石井さん。電通アドギアは、電通とサントリーの出資により2002年に設立され、主に広告・プロモーション、インバウンド、屋外広告などに強みを持つ広告会社です。そこで企画の戦略立案に携わる石井さんに、仕事のやりがいや働き方の工夫、家庭での過ごし方について教えてもらいました。まずは前編をご紹介します。

電通アドギア ストラテジックプランナー/プロデューサー 石井美香さん

営業職を経て念願のプランニング職へ

──ご経歴と入社のきっかけについて、簡単に教えてください。

石井:2014年に、中途採用で入社しました。

前職は、デジタル広告会社で営業をしていました。2年間、中国の上海での駐在も経験したのですが、当時知り合った方の中に、電通アドギアに出向された方がいて。私が日本に帰国して転職を考えていた時期に声をかけていただいたのがきっかけで、電通アドギアに入社しました。

最初は、以前から挑戦したかったプランニング部署に配属されました。が、すぐに部署異動で営業となり、官公庁や自治体をクライアントに、インバウンド領域のプロモーションを担当することになりました。上海にいたころに、日本にもインバウンドビジネスの波が来そうなことを感じていて、私自身、その領域に興味はあったので、やりがいを持って働くことができました。

そして2018年から2年間、電通の営業局に出向して、日本企業の化粧品ブランドを担当。2020年に出向から戻り、妊娠・出産を経て、2021年に職場復帰をしました。

復帰後も引き続き官公庁や化粧品の案件を担当していました。ただやはり、戦略立案から企画に携われるプランナーに挑戦して、ステップアップしたいという気持ちがあったのですが、チャンスがあり、2022年からプランニング職に就くことができました。

──現在は、どんなお仕事をしていますか。

石井:広告会社のストラテジックプランナーとして、クライアントへの企画を立案する際に最初の指針をつくるのが仕事です。いろいろな調査データから生活者のインサイトを探って、ブランドの本当の課題はなんだろうと考えたり、仮説を立ててブランドが進むべき方向性を定めたりするといった役割です。

当社はプランナーの人数が少ないので、領域は特に分けず、横断的にそれぞれ案件を担当しています。今は、家電メーカーやフィットネスクラブをメインクライアントにお仕事しています。

──お仕事のやりがいは、どんな点に感じますか。

石井:自分なりのファインディングスとか、仮説や問題を発見できたときは、すごく嬉しいですね。

オリエンで企業や商品の課題を提示されるケースもあります。けれど、調査していく中で、もっと深いところにある本当の課題や新しい視点を発見できることがある。企画方針としてそれを提案できると、自分がいる意味があるのだと実感できます。

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復職後は大学院へ通い、リスキリングも実践

──ご出産はいつごろですか。職場復帰の際の心境はどうでしたか。

石井:2020年4月に出産し、ちょうど1年後の2021年4月に職場復帰しました。育児休業期間はコロナ禍の真っただ中で、緊急事態宣言のさなかでの出産でした。

実際に子育てを始めると、子どもと1対1でずっと向き合い続けるより、仕事と両立して気分を変えられる方が、自分の性格には合っているなと思いました。復帰の時はやっとという安堵と、どうなるのかなという不安とが入り混じり、そわそわしていましたね。

ただ、私が育休を取っていたコロナ禍は、ちょうど世の中全体で働き方が大きく変わったタイミングでした。そのため、職場復帰してみると、私の浦島太郎っぷりが尋常でなくて。例えば、クライアントの広告の編集確認への立ち会いがリアルからZoomに変わっていました。コミュニケーションはすべて、オンラインが当たり前になっていたんです。

また、私は電通への出向から戻って1カ月後に、産休に入りました。出向と休業の期間中に、メンバーの入れ替わりもあったので、同僚の顔触れもまったく変わっていて。

その2つが重なって、復帰直後はまるで転職したかのような、置いていかれそうな不安を感じたことも正直ありました。

──復帰の際に会社のサポートでよかったと感じたのは、どんなことですか。

石井:リモートワーク制度には本当に助けられています。出社は1~2週間に1度で、ほぼフルリモートの状況です。夫は基本出社のため、保育園で子どもが体調を崩すことがあっても、私がすぐに家からお迎えに行くなどして、うまく活用できています。

また、復帰の少し前から、アイドリング的な感じで、復帰する先の上長や同僚がWeb会議システムで面談をしてくださったり、人事部の方もお話を聞いてくれたりしました。周囲の温かいフォローがありがたかったです。

当時は、産休・育休から復帰した女性社員は、社内に数人しかいませんでした。ただその後、社内のママ同士の横のつながりをつくろうと、後輩がグループを立ち上げてくれました。おかげでコミュニケーションを取りやすくなって。そういった取り組みもあり、最近はママ社員も増えて、安心して職場復帰できる環境が整っている印象です。

──仕事と家庭を両立する中で、予想外に大変だったことはありましたか。

石井:3歳になった子どもが、初めて入院した時は本当に大変でした。ちょうど競合プレゼンの真っただ中でしたが、子どもが風邪をこじらせて肺炎になってしまい、1週間入院することになりました。

入院中は、1日中子どもに付き添う必要があります。ただ、夫もその時は仕事が忙しくて。個室の病室にして、パソコンを持ち込んで仕事をしていました。看護師さんも出入りしますし、社内ミーティングへの参加はさすがに難しかったです。病院の就寝時間が午後10時で、その後ようやく仕事を始めるといった日もありました。上司には業務の分配やミーティング時間の変更など気遣っていただき、本当に支えていただきました。

──今の働き方はいかがですか?

石井:今、リスキリングのためにMFA(美術学修士)を取得しようと、大学院にも通っていまして…。授業はオンラインですが、修士号なので内容はなかなかハードで、平日夜や土日はゼミや研究など勉強の時間を取る必要があります。

そうなると残業ができないのですが、それも上司に相談して、業務のアサインの配分などについて配慮していただいています。上司と一緒に担当する案件は、自ら分担してくださったり、後輩をつけてもらったり、そもそも量をセーブしてくださったり。もう上司の家に足を向けて寝られません(笑)。

初めは、休職して大学院に通おうと考えて、会社からは休職の許可も得ていました。でも自治体に相談すると、夫婦が共働きでなくなるため、休職する場合は保育園を退園するように言われてしまい…。子どものことを思えば、退園はできません。でも、大学院には合格していたので、もうあとにも引けない状況でした。上司に相談すると、柔軟に業務を調整していただけることになり、今は仕事と大学院の両立ができています。

本当に私は上司に恵まれています。今後は大学院で学んだ視点も取り入れながら、仕事の幅を広げていきたいと考えています。

【この記事は前後編です:後編「人との縁に感謝しながら、自分を成長させる」】


【執筆者プロフィール】シキノハナ

編集者・ライター 兼 華道家。ビジネス雑誌の編集長を経て、複合サービス企業へ転職。約16年間にわたり、広報を軸とした企画業務に携わる。現在はシキノハナを主宰。仕事に、家事に、育児に…と、忙しい女性を心からリスペクトし応援する。
<ホームページ>https://shikinohana.com/

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