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人との縁に感謝しながら、自分を成長させる―電通アドギア ストラテジックプランナー/プロデューサー 石井美香さん【輝く!ママクリ】


仕事に、家事に、育児に…、忙しいけど面白い! 今、マーケティングやコミュニケーション、クリエイティブの世界で活躍しているワーキングマザーを取材します。第17回は、電通アドギアのストラテジックプランナー・石井さん。電通アドギアは、電通とサントリーの出資により2002年に設立され、主に広告・プロモーション、インバウンド、屋外広告などに強みを持つ広告会社です。そこで企画の戦略立案に携わる石井さんに、仕事のやりがいや働き方の工夫、家庭での過ごし方について教えてもらいました。後編をご紹介します。

電通アドギア ストラテジックプランナー/プロデューサー 石井美香さん

【この記事は前後編です:前編「上司や周囲のサポートで希望の仕事を続けられた」】

学びを活かして仕事の質を高めたい

──仕事と育児の両立だけでなく、大学院にも通われているとお聞きしました。なぜ、勉強をしようと思ったのですか。

石井:ストラテジックプランナーになって1年ぐらい経った頃でしょうか。私はデータや調査結果から読み取れることに固執してしまい、頭が固いなと思うようになりました。また、クリエイティブ職の人と一緒に仕事をしていると、とても視野が広くて、そういう物の見方ができるのかと驚くことも度々ありまして。自分の視野の狭さが歯がゆくて、ちょっと違う視点を取り入れたらどうだろうと、考えたのがきっかけです。

それで、デザインの考え方を勉強してみようと思い、MFA(美術学修士)の取得に挑戦してみることにしました。

──今後のキャリアについてのお考えを教えてください。

石井:今、デザイン思考について勉強していますが、ストラテジックプランナーならではの「ロジカル」な部分と、新たに学ぶ「デザイン」の2つの視点を掛け合わせて、自分なりに考えを深められたらと思っています。けれど現状は、目の前の仕事をしているときはロジカルの脳を使い、勉強の時はデザインの脳を使うといったように、モードが分かれてしまっています。先々では、それらをうまく融合させながら、仕事においても自分の色を出していけるようになりたいと考えています。

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セレンディピティを大切にする

──ご家庭での家事分担は、どのようにしていますか。家事分担のコツや秘訣は何かありますか。

石井:普段は、朝は夫が料理やごみ捨て、子どもの登園まで全部やってくれ、夜は、基本的に私が全部の家事をやっています。夫の仕事は出社が基本で、私はリモートワークが多いため、そのような分担をしています。あらかじめ決まっている予定がある場合には、事前に夫とスケジュールを調整して、お迎えなどをすべてお願いしています。

土日は、大学院のゼミのミーティングを月に1回、終日行います。その時は、夫に子どもの面倒を見てもらっていて、寝かしつけやお風呂などもお願いしています。

子どもが熱を出したとか突発的な用事は、私が対応しますが、どうしても外せないミーティングなどがある場合は、部分的に両親にお願いしたり、外部のサービスを利用したりしています。

私と夫は同じくらい家事をするので、特に問題はないのですが、気持ちよくできるように、「ありがとう」は多めに言っておくといった配慮はしています。

──育児や家事の経験が仕事に活きたと思うことは、何かありますか。

石井:時間の感覚は鋭くなりました。「Time is money」とはよく言ったもので、例えば、仕事の時間を1時間確保しようと、ベビーシッターサービスを利用したら、いくらかかるかとか。そういった金銭感覚が身に付いて、時間管理は意識するようになりました。

1日のタスクを全部書き出して、そのすべてに時間を割り振ることで、なるべくスケジュール通りに進めるようにしています。

──出産前と出産後で変わったなと思うことはありますか。

石井:漠然と、子どもの未来を気にするようになりました。この子が暮らす、何十年か後の環境や社会の情勢とかはどうなっていくのか。出産前は仕事中心の考え方でしたが、子どものことを大切に思うにつれて、世の中に対する関心が向くようになったんです。

SNSを見ていても、子どもに関するニュースや、子を持つ親に関するトピックがあると、記事のコメントまで熟読する癖がつきました。特に賛否両論あるような話題は、興味深いと思いながら読んでいます。

──普段の生活の中で大切にしているのは、どんな点ですか。

石井:やりたいと思ったことは、なるべくやるようにしています。

今までは、「わらしべ長者」のように人との縁で、希望を叶えてきたと思っています。上海で働けたのも、当時の先輩にずっと海外で働きたかったと話したら、その人が縁をつくってくれたからなんです。電通アドギアへの入社も紹介がきっかけでしたし、大学院に通う選択ができたのも、出向先の電通でストラテジックプランナーの方のプロフィールに「MFA取得中」との記述があり、調べてみたのがきっかけでした。

人とのご縁に感謝して、なるべく無駄にしないようにしたいですし、セレンディピティ(予期せぬ幸運や偶然を引き寄せる能力)を大事にしていきたいと考えています。

――取材を通して印象的だったのは、石井さんが人とのご縁で新たな出会いやチャンスを得てきたということだけでなく、チャンスや気づきに対して自ら積極的にチャレンジし、道を切り拓いてきたということです。その向上心と行動力こそ、本当に見習いたいと思います。ありがとうございました。


【執筆者プロフィール】シキノハナ

編集者・ライター 兼 華道家。ビジネス雑誌の編集長を経て、複合サービス企業へ転職。約16年間にわたり、広報を軸とした企画業務に携わる。現在はシキノハナを主宰。仕事に、家事に、育児に…と、忙しい女性を心からリスペクトし応援する。
<ホームページ>https://shikinohana.com/

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