「努力は必ず報われる」を自分の背中で息子に見せたい―ブリヂストン グローバル商品企画部 趙玲さん【輝く!ママクリ】
【この記事は前後編です:前編はこちら「日本留学・就職を経て、グローバルな仕事と子育てを両立」】
できたことに目を向ける
――職場には、働きながら育児をするママ社員は多いですか。
趙:そうですね。結構、当たり前になっています。後輩は家族を連れてアメリカ赴任をしましたし、職場では子育て中の女性が複数働いています。私が産休に入るときも、同じ部署の産休から戻ってきた社員と入れ替わりでしたし、復帰後に今度は私が仕事を引き継いで別の社員が産休に入り…といった形で、産休に入る女性社員が続いています。周囲から育児にまつわるいろいろな情報を教えてもらえるので、助かっています。
――仕事と家庭を両立する中で、予想外に大変だったことはありましたか。
趙:1人の時間がまったくないことです。朝起きて、子どもの保育園の支度をして、送り出してから子どものお迎えの時間ギリギリまで仕事をして、いったん切り上げてお迎えに行って、夕飯の準備やお風呂、そして寝かしつけ。子どもは保育園でお昼寝をしているからか、すんなり寝ないので、23時くらいにようやく就寝…。つまり、お迎えから23時まではずっと子どもに付き添うので、自分のことはほぼ何もできません。たまに業務が忙しくどうしてもその日に残業しないといけないときは、子どもにYouTubeを見せてその間仕事したり、もしくは23時から業務を再開したりするなど、工夫をしています。寝かしつけの際に、子どもよりも先に私が寝落ちしちゃうことも時々あります。
――ご両親が海外にいることで、苦労することはありますか。
趙:多分、親が国内で遠方に住んでいる人とそこまで変わらないと思いますが、やっぱりすぐに頼れないし、孫の顔もなかなか見せられないところは大変です。ベビーシッターも急な病気の際などはすぐに来てもらえないですし、そういうときは親が近くにいたらな…とは思いますね。また、気軽に土日に遊びに行くことができず、帰省も海外だと大がかりなので、そこは結構つらい部分もあります。
――育児や家事の経験が仕事に活きたと思うことは、何かありますか。
趙:子どもは、大人から見ると当たり前のことができません。でも子どもは、少しずつできるようになることこそが大事です。できていないことよりも何ができたのかを、子どもと接する中で意識するようになりました。
これまで仕事をしていると、どうしてもできなかったことや課題に目がいってしまっていました。後輩社員の指導に当たることも多い現在では、どこができなかったのかを探すのも大事ですが、「ここまでできたから次はこう頑張りましょう」とかポジティブに声かけしながら、チームに貢献していけたらと考えています。
「努力は必ず報われる」のが仕事
――普段の生活の中で大切にしているのは、どんな点ですか。
趙:1つは、コミュニケーションをきちんと取るということです。正直「察してよ…」と思うことも、たまにあります。けれど、言わないとわからない部分があるので。それは会社においても家族においても同じで、ちょっともやもやしたり悩んだりしたら、丁寧なコミュニケーションを心がけています。
もう1つは、感謝する気持ちを忘れないことを意識しています。仕事では、急ぎで誰かに何かをお願いしなければならないこともあります。そのときには、きちんと感謝します。家庭でも夫には一緒に家事をたくさんしてもらっていますし、私が疲れているときは1人の時間をつくってくれたりもします。だから、私が友人とご飯を食べに行ったらお土産を持って帰るとか。夫も土日に仕事で外出したらお土産を持って帰るとか。そうやってお互いに感謝の気持ちを見せながら、相手を責めずにやっています。
――今後のキャリアについてのお考えを教えてください。
趙:ずっと働いていきたいと思っています。仕事で頑張って成果を出して評価されてお給料をいただいて、それで自分の好きなことをやる。このサイクルは、すごく当たり前のことかもしれないけれど、それこそ「努力は必ず報われる」の一例じゃないでしょうか。それを自分の行動で、自分の背中で息子に見せたいなと思っています。
お父さんの背中だけじゃなく、お母さんの背中も見せたいです。
――今や外国人材が日本で活躍するのは、当たり前になりつつあります。国籍にとらわれないつながりや、思いもよらない学びを得る機会が、日本にいながら得られるなんて…。やっぱり多様な人材がいる職場は面白い! そんなことを、取材を通じて実感させていただきました。ありがとうございました。
【執筆者プロフィール】シキノハナ