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ママであり、デザイナーであり、「私」でいるために(後編)【ママ訪問】

「ママ訪問」では、ママクリエイターにリアルな働き方を語っていただきます。今回はグラフィックデザイナーとして活躍されているTさん(匿名)にオンラインでお話を伺いました。出産、復職、そして転職。環境が変わっても、「デザインが好き」という変わらぬ思いでお仕事をされています。前編では、これまでのキャリアや復職までのお話を伺いましたが、後編では、コロナ禍での働き方やママクリエイターとしてのやりくり、今後の展望についてお届けします。

【この記事は前後編です:前編はこちら】

デザイナーは、在宅勤務にフィットする

──現在の仕事内容についてお聞かせください。

コスメメーカーのインハウスデザイナーとして就業しています。各事業所の営業さんから依頼書をいただき、それをもとにデザインをしていきます。制作物は、ドラッグストアの店頭販促用POPや、販売ディスプレイ、営業用パンフレット、消費者向けのリーフレット、新商品や季節商品のパッケージ、商品カタログ、ECサイト上で使用される画像、商品包装内に同梱される商品取扱説明書など多岐にわたります。

メーカーに入ってからは、制作物に対する効果をシビアに見られるようになりました。転職するまでは、受託業務、いわゆるクライアントに提案する代理店側におりましたので、納品したら終わり。実際に商品がどの程度売れたのかまでは把握できていませんでした。しかし今は、商品ごとの売り上げを目の当たりにしています。私がデザインした制作物を営業の方が売り込む材料としてどれだけ使用してもらえているか。そこまで実情がわかるようになり、落ち込むこともありますが、以前よりもどうしたら売り上げに貢献できるかを意識してデザインをするようになりました。

──コロナ禍の今、働き方について教えてください。

週5日勤務で、9時半から17時までの6.5時間働いています。コロナ前と勤務日数や時間に変わりはありませんが、在宅勤務を週2日行っています。正直とてもやりやすいです。デザイナーは、在宅勤務にとてもフィットする職業だと感じています。家でアイデアを考えたり、レイアウトしたりでき、集中力が高くなる気がします。このまま在宅勤務が継続してもらえると私はうれしいくらいです。

──出勤と在宅勤務で、仕事を分けていますか?

出勤のときは、会議や打ち合わせなどのコミュニケーションが必要な仕事をメインにしています。あと、フィニッシュワークや版下作業、納品するデータの最終確認も出勤時に対応しています。アイデアを考えるのは「家」、コミュニケーションとフィニッシュワークは「会社」という風に自分のなかで分けています。

──子育てとのやりくりはいかがですか。

子どもは今、小学2年生で、学校が終わるのが午後2時半から3時半ごろです。下校後は学校併設の学童保育に行ってもらい、また週2回は民間の学童を利用しています。

ただ、夕方だったり、学校がお休みの日だったり、在宅勤務中に子どもが家にいることもしばしばです。そのときは、自分で時間割をつくってもらって、私の横で宿題したり、テレビを見たり……。一応仕事中の私に対して気を使ってくれますが、オンライン会議中に後ろを歩いたり、靴下を見せてきたり……自由奔放にしています(笑)。会議は子どもが不在のときするようにしています。

あきらめてしまうのは、もったいない

──今後の展望についてお聞かせください。

子どもがもう少し成長したら、デザイナーとしてもう一歩踏み出せる、リスタートできる機会があれば、という気持ちはあります。デザイナーはPCのモニターを見ながらデザインするだけではダメです。常にインプットをしないといけません。だから焦りもあります。デザインのスキルや幅を広げるために、もっともっといろいろな情報を仕入れないといけませんし、より意識的にアンテナを立てる必要もあります。

──これからママになるクリエイター、復職や転職を考えるママクリエイターの方にメッセージをお願いします。

子どもが生まれたからといって、そんなに大きくは変わらないと思います。これまでのように自分ができること、やれることを一生懸命やっていると、意外と周りの方が応援してくださるものです。まずは、第一歩を踏み出してみてください。

ひとつお伝えしたいことがあります。実は私の周りには、ママデザイナーはいませんでした。ママさんクリエイターがどのように仕事をしているか知りたくて「しゅふクリ・ママクリ」を拝見していました。「第一線でバリバリ仕事をする方がこんなにいらっしゃるんだ!」「私もがんばらなくちゃ」と励みにさせていただいていました。まさか、マスメディアンさんが運営しているとは知りませんでしたが……(笑)。

──デザイナーは比較的復職しやすい職種なのかもしれませんが、まだまだ復帰のハードルは高く、出産を機にデザイナーを辞めてしてしまう方も多いです。改善すべきことは沢山あるからこそ、「しゅふクリ・ママクリ」を立ち上げた経緯もあります。

私も、もっとママが復帰しやすい社会になればと思います。私は人に恵まれて、お仕事もご縁があってさせていただいています。小さな一歩でも踏み出せば、きっと楽しくお仕事ができると思います。ママさんだからといって、諦めることはありません。

私は、デザインの仕事しかやってきませんでした。仕事をする限りは好きなこと、楽しいことに携わりたい。やるからにはずっと続けたいという思いがあります。だから、私はこれからもっともっと勉強しないといけないですし、山ほど課題があると思っています。私もがんばります、という気持ちです。

──今後も「しゅふクリ・ママクリ」ではママクリエイターを応援していきたいと思っています。ありがとうございました。

※2021年5月に取材した内容を掲載しています。


【インタビュアー】しゅふクリ・ママクリ編集部
ママ訪問では、ママクリエイターにリアルな働き方やキャリア観についてインタビューしていきます。

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