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子どもの人生も私の人生も一度きり。だから一緒に楽しむ―DMM.com クリエイティブディレクター 岩井ゆう紀さん(後編)【輝く!ママクリ】


仕事に、家事に、育児に…、忙しいけど面白い! 今、マーケティングやコミュニケーション、クリエイティブの世界で活躍しているワーキングマザーを取材します。第15回は、DMM.comのクリエイティブディレクター・岩井さん。DMM.comは1998年の創業以来、「DMM TV」などの動画配信、ゲームや電子書籍、オンラインクリニックなど、60以上の幅広いサービスを展開する企業です。アートディレクター・クリエイティブディレクターの岩井さんに、働き方の工夫や仕事のやりがい、家庭での過ごし方を教えてもらいました。前編・後編でご紹介します。

DMM.com アートディレクター/クリエイティブディレクター 岩井ゆう紀さん

【この記事は前後編です:前編はこちら「会社も仕事も、出産を見据えた選択だった」】

多くの人が関わる仕事の、共通認識をつくる

──今、育児と仕事を両立する中で、育児の経験が仕事に活きたと思うことは、何かありますか。

岩井:関心の幅が広がったことでしょうか。子どもを産んでから、さまざまな手続きで行政と接点があり、距離がすごく近くなりました。そんな中で担当した、自治体と協力しての地方創生のお仕事は、やりがいを感じています。

──出産前と後で、自分の中で変わったことは何かありますか?

岩井:根本的なところでは、ないと思いますが……。働く時間数も、そんなに変わっていないかもしれません。ただ、夜は子どものために業務を一旦中断しなければならない時間帯があるので、仕事のスタイルが朝型に変わりました。子どもを産む前は、夜の方が仕事が捗って、18時~19時くらいが仕事の調子も気分も一番高まる時間帯でしたが、今は朝早い時間の方が集中できるようになりましたね。

──キャリアについてのお考えを教えてください。

岩井:自分自身は、ずっと現場にいて仕事を続けたいという気持ちです。一方で、私と同じように、社内外でコミュニケーションを取りながらブランディングを行ってくれる人が増えたらいいなとも思っています。

私の担当する案件は、対外的なブランディングも多いですが、最近、それと同じくらいインナーブランディングのニーズも増えています。DMM.comを客観的に見たときにも、インナーブランディングの重要性をとても感じています。DMM.comは、とても幅広い事業やサービスがあって、それぞれにたくさんの人が関わっているので、各サービスごとに共通認識を持つことや、同じ方向・目的・ゴールを持ってサービスを運営していくことが求められるんです。外でも内でもいろいろな人とコミュニケーションを取って、自社やクライアントをひとつの方向に導いていけるような人が増えると楽しいかなと思います。

デザイナーだと、ビジュアライズが得意な人や、1人で世界観をつくるのが好きな人は多いのですが、世界観の言語化や、多くの人とコミュニケーションを取りながらみんなの共通認識をつくることも大切な仕事だと思います。チームのデザイナーとも、そういうところを目指していこうと話をしています。

無理しすぎない、頑張らない

──出産後、予想外に大変だったことは何かありますか。

岩井:うちは子どもが1人なんで、すごく大変っていうのは、コロナの時ぐらいでした。0歳児の時はさすがにやることが多かったですが、夫とはタスク管理やナレッジ共有をして、仕事っぽい感じで育児をこなしていました。アプリを使って、「この時間にミルクあげたよ」とか「何時間寝たよ」とか、子どもの情報を記録・共有して、どちらかが仕事や家事に戻りたいときもすぐに引き継げるようにしていました。

それに普段から「無理しすぎない、頑張らない」っていうのは、あるかもしれません。自分がヘトヘトになっている時は料理を頑張りすぎないで外食をするとか。ありがたいことにうちの子は本当に身体が強くて、多少の偏食はありましたが健康でいてくれたので、そこまで育児に悩むこともありませんでした。

──ご家族での家事分担は、どのようにしていますか。

岩井:割と夫も、一緒に子育ても家事もするタイプというか。出産当初から夫には分担しようと何度も話をしていたので、できる時にできる方がやるといった感じです。ただ、子どもの方から「今日はパパがいい」「ママがいい」といったリクエストがあって、それに振り回されたりはしましたね。

──普段の生活の中で大切にしているのは、どんなことですか。

岩井:母親だからとか、子どもがいるからとかって我慢するのはあまり好きではなくて。子どもの人生もあるけど、私の人生も一度きりだし、人生を楽しみたいと思っています。もちろん子どもを産んだからには、ちゃんと責任を持ちますけど。

父親は自営業で内装業なのですが、幼い頃に仕事場に連れて行ってもらったのがすごく楽しかった記憶があって。弟も父も現場の職人さんもみんな楽しそうにしていたのが印象的でした。母親は厳しかったのですが、父親は友達っぽい感じでずっと私に接してくれて。自分も子どもにいつも楽しそうな姿を見せられるような親になりたいって、どこかで思っていたのかもしれません。

それもあって、子どもとは「あれがいい」「これがいい」って一緒にネットで服を選んだり、ライブも一緒に行ったりして、もう「友達」ですね。自分も一緒に楽しむのは、仕事においてもプライベートにおいても大事にしています。

──心のどこかで結婚や出産を考えながら会社や仕事を選ぶのは、よくあることだと思います。それは、周囲に迷惑をかけないようにする心遣いでもあります。感性が豊かで人の心の機微もわかる岩井さんだからこそ、マネジメントや、大勢の人が関わる仕事で共通認識をつくるという仕事もピッタリだろうなと、お話を伺いながら思いました。その仕事の中で、「自分も一緒に楽しむ」という岩井さんの心の持ちようは、とても大切なことですね。ありがとうございました。


【執筆者プロフィール】シキノハナ

編集者・ライター 兼 華道家。ビジネス雑誌の編集長を経て、複合サービス企業へ転職。約16年間にわたり、広報を軸とした企画業務に携わる。現在はシキノハナを主宰。仕事に、家事に、育児に…と、忙しい女性を心からリスペクトし応援する。
<ホームページ> https://shikinohana.com/

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